足立区主催セミナー講師 (~管理費の見直しを考える~)
恒例の足立区主催分譲マンションセミナー&交流会が3月3日、西新井の教育相談センターで開催された。このセミナーは今回が21回目。適正化法が施行された平成14年頃から続いている。この間、担当部局の組織変更等があり、挨拶に立った課長は5人目を数える。
今回のセミナーでは、私が講師を勤めた。通常講師は複数で担当する方法をとっているので、持ち時間は90分程。この時間で管理費とは何か?管理費に特徴はあるか?管理費の見直し事例から学ぶことは?管理費の適正水準はどのくらいか?といった疑問に答える形の講義をした。
熱心な皆さんに理解してもらえるよう努力したつもりだが、残念ながら時間という制約もあって、参加者の理解度に応じた講義をするという配慮はできなかった。一番残念なことは、予習した内容の60%程度しか説明できなかったことだ。もっとも、昔、天気予報を担当していた著名な方の言葉「伝達率」という話の中では、「毎日説明しているのだが、帰宅後ビデオを見ると60くらいしか表現されていない」と言っていた。解説を毎日している人でさえ上手くできた時で80%とのことだったから、それから言うと、セミナー講師5回ほどの自分としては、まずまずの出来だったかな…。
今回私がテーマとしたのは、マンション世帯主の高齢化が進む中、経年による積立金の増加と年金収入減少傾向に対する備えをどうするか、ということ。言葉を変えると、今後経年マンションの修繕積立金原資をどこから調達するのか、ということになる。65歳からの将来のこと、10年先とか20年先を考えているのだが…。
この点に関しては、レジュメに従い講義の導入部分では話したのだが、その後、詰めが少しあまくなり、弐の矢、参の矢を飛ばすことがなかったので、参加者にどの程度理解されたかは疑問だ。この点は大いに反省しなければならない。
またこのセミナーでは、足立区と中野区、川口市とを比較する形で、管理費が一律ではないこと、分譲の時期によって当初設定額に高低があることなどをデータで示したけれども、PCデータをスクリーンに映しても特に数字の場合は読みづらい面があって、参加者は理解するのに苦労したかもしれない。この点は次回以降更に改善を加えて、より分かりやすい方法を検討する必要がある。
セミナーで使用したレジュメと配付した資料は以下のとおりですが、管理費の評価表については、上部グローバルナビゲーション「委員会案内」の自己診断表と同じなので、省略します。
【用語解説等】
居住者の高齢化問題 《全国マンション実態調査:60歳以上の世帯主》
〈S55〉7.9%⇒〈H15〉31.7%⇒〈H20〉39.4%
「伝達率」→ 相手への伝わり具合=説明の仕方×受講者の理解力
人前で話した内容をビデオ再生してみると、自分では100の内容を話したつもりでも60くらいしか表現されていない。いくらうまく話しても80ぐらいしか表現されないと仮定し、更に一般の人が聞いて理解するのは、理想的な場合でも80%くらいと仮定すると、自分の考えが相手に伝わるのは64%(0.8×0.8)程度といえる。
●多くの場合、表現率も理解率も低くて、それぞれ50~60%程度であるから、伝達率は25~30%にしかならない。
●大切なことを伝えたい時は、同じことについて角度を変えて3回以上は理解を求め必要がある。
【セミナー配付資料】
マンションの管理費について △△ レジュメ △△
~管理費等の見直しを考える~
Ⅰ.「管理費等の見直し」について
1.はじめに
・年金生活者にとっての「管理費」とは。将来の展望は?総てお任せでよいの
か?
・管理費とはなにか? その中身は?
2.管理費の特徴(全国一律ではない) 絶対額は存在しない→相対的比較
・金額に影響を及ぼす要因は何? 建物立地地域、居室の大小、1棟の
規模、築年、設備状況、管理形態等々
①地域別の高低比較:「三都比較」 初期設定値(初期値)は分譲価格に比例
する?
②居室の大小:物差は? →「㎡あたり管理費」
計算式=管理費月額÷専有面積
◇管理費についてのまとめ
3.管理費の見直しについて
①5段階評価で、自らの管理費水準を認識しよう
②ABC分析で大きな費用から内容を知ろう!
③「管理委託契約書」に疑問を感じたら「標準管理委託契約書」と比較して
みよう
・業務の必要性を確認し、仕様書を読み込み精査する。
・履行調査してみよう。(契約締結→履行→確認→請求書受理→支払)
④管理組合の決算書に、「個別費用科目」を表記してコストを見える形に
する
⑤事例研究1(管理委託契約内容の見直し) その他
Ⅱ.「管理委託契約書」を読む (事例研究2)
1.管理組合の支出
・管理委託費
・直接発注費
2.管理委託契約書を読む
・どの業務をどのように行なうか? その費用は? 契約期間が管理会社
に有利なケースは
3.外部への直接発注
・直接発注のメリット
・管理会社の協力が得られない?
4.ポイント
【セミナー配付資料2】◆ 管理費についてのまとめ ◆
1.管理費とは、建物や設備の維持管理、共用部の光熱費等並びに管理組合運営
に必要な経費として執行される費用の総称。その負担については、法や規約
に規定され、区分所有者全員が負わなければならない重要な義務とされてい
ます。
2.管理費は、地域や場所、建物竣工時期、1棟の規模、設備状況、管理の方法
等によって負担水準が異なります。
3.維持管理等に必要な各種契約は、契約自由の原則に基づいて行なわれる結
果、「絶対額」という形での金額は存在しません。したがって、管理費の水準は
「相対比較」で判断することになります。
4.部屋の広さの影響を排除した指標を「㎡当り管理費」という。広さの影響を排
除するので、こちらの方が的確な「ものさし」になります。
【足立区内の現状等について】
1.足立区内には1,000を超えるマンションがあり、管理費月額について言え
ば2,500円から27,600円まで、幅ひろく分布している。 管理費は
専有部面積に比例するので、広い部屋は高いということも一因だが、高いとこ
ろと安いところで10倍以上の開きがある。
《「㎡当り管理費」に置き換えると、安いところは70円、高いところは440円》
2.高いからといって、無駄なお金を支出しているとは限らないが、管理費が高い
場合は、修繕積立金を低くおさえて、合計額で帳尻?を合わせることがある。
帳尻合せは、管理組合運営を管理会社に丸投げしている「おまかせ管理組合」
に顕著に見られる。
3.バブル期に分譲されたマンションは、その分譲時期との関係で注意が必要。分
譲からこれまでの間に、一度も見直しが行われていないところは「おまかせ管
理組合」の疑いがあるので、自らが主体となって評価・検討すべきです。
4.足立区内マンション(ファミリータイプ)の平均㎡当り管理費は約200円程
度。 これは平均価格だから、下回っている管理組合もある一方で、上回ってい
る管理 組合もたくさんあります。
《管理費自己診断の評価『1』及び『2』に該当する管理組合が、全体の約3割
を占める》
▲まずは管理費自己診断を行って、自分たちのマンションの「管理費水準が世間
と比べてどうか」を評価してみましょう。
●評価『1』及び『2』に該当する管理組合は、その負担が世間一般よりも割高
なので、専門家に相談する等、適正管理費へ置きなおすことを勧めます。