2012年3月21日

電気料金の削減方法について

高圧で受電しているマンションの場合、電力会社を代えることにより電気料金を削減できる場合があることが、24.3.15朝日新聞記事「プロメテウスの罠」に紹介されている。
この発想は、電力自由化の利点を使ったもので、東京電力の料金設定の盲点を利用するものだが、実現するには専有部を含むマンション総ての電力会社変更が必要だ。

記事で紹介されている事例は、東京電力の変圧器から「中央電力」というマンション電力サービス会社のものに交換工事したもので、東電からの引きこみはこれまでどおりだが、変圧を中央電力に任せる。この交換工事で、電気代が標準で4割減るという。

大規模マンションは、大口需要家ということから、高圧で受電することが義務付けられている。その高圧電力を、キューピクルにより低圧電力や家庭用電力に変圧して、共用部の照明や専有部の電力に使用している。高圧から低圧等への変圧は、自分たちの敷地内や建物内に設置した自分たちの資産(キューピクル)が行なっているのだ。

電気代が標準で4割減るのは契約単価差を有効に使用するからだ。高圧で受電する「業務用」の単価は、夏以外の昼間は1㌔ワット時あたり約15円、家庭用は約23円が中心だから単価差が8円ある。マンションは、業務用の安い高圧電力を受電しているのに、各家庭は高い料金を東電に払うという奇妙な構造になっているから、各家庭が使用する電力を業務用の配電としてまとめて買うことができれば、各家庭も安くできるのだ。

「一括受電」と呼ばれるこの方法は、電力料金削減の有効な方法なのだが、一番の問題は、全戸が別の電力会社に契約を切り替える必要があることだ。何事によらず全員一致ということはなかなか難しいことだから、契約変更に反対する人は必ず一定数いる。
契約に応じない組合員をどう説得するか。新聞記事の例では、変更先である中央電力が、管理組合に代わって各家庭の説得を行ったと書かれている。電力会社変更に伴う管理組合の業務負担はほとんどなかった模様だ。

事例の管理組合では、「次は電力の買い入れ先を変更することを検討したい。東電が値上げするならなおさらです」とコメントしている。
理事長をはじめとする管理組合の役員が積極的に動いて、管理費の節減に直結する取組みを行なう様子は、頼もしくて好ましい。マンションの管理の適正な運営とはどういうことかを考えさせてくれる。

 


【参考情報】
24.3.16 発電会社「エネット」(港区2000年設立)が電力を供給している川崎市のあるマンション。料金が東電よりも5%安い。ウェブサイトで今使っている電力がわかる。1日の使用料の変化もわかるので、何が電力を食うのかを意識するようになった。

2012年3月19日

東電の電気料金値上げ問題について

報道によれば、東京電力は事業用電力料金について、値上げは電力会社の権利と称して、4月1日から平均で17%程度の値上げを予定しているという。
事業用とあるから、マンションについては無関係と思いがちだが、事業用というのは一般家庭用に対する言葉で、実際には高圧又は特別高圧で受電している電気のことだから、大規模マンションなどでも使っている。だから大規模マンション等は値上げ対象に該当する。
既に値上げの要請を受けている管理組合もあると思うが、「管理会社に聞かないとわからない」という管理者等は、まずはマンション敷地内に受変電設備(キューピクル)が設置されているかを確認してみるのも一方だ。

ところで、今回の値上げについては、契約を無視または消費者の無知に付け込んだような東電の対応に非難の声が起るなど、国民的不信感が増幅している。
当初東電は、4月1日から総ての事業用電力需要家が対象になるというニュアンスで周知していた。そのことの真偽については、最大のインフラである電気が、「大東電との1対1の契約によって供給されている」ということを意識したことがない消費者には、判断が難しかったのはやむを得ない。
地域独占という不正常な状態に慣らされてしまった消費者は、無知になってしまい、総て東電の言いなりだったのだ。ちょうど「おまかせ管理組合と管理会社」の関係のように…。

そして、「契約期間中は一方的な値上げはできない」ことが判明したのはつい最近のこと。契約途中の値上げには利用者の了承が必要なのに、東電はそのことを説明しなかった。そのことを世田谷区長や自民党のK代議士のHPで明らかにされて、対応を変えてきているのだ。
値上げ時期は4月1日から。契約始期が4月の需要家は全体の25%。75%は5月以降が契約始期になっているので、4月から値上げを了承する義務はない。

事業用電力料金に該当する管理組合は、契約期間を遵守して更新時期に更改契約を締結すればよいことを理解して、無駄な支出をしないように管理会社を指導しなければならない。

管理会社の担当者から、「東電にはOKの返事をしてしまいました」などと報告されている場合でも、3月30日までに東電に拒否回答をすれば、本来の始期まで延ばせる可能性があるので、至急対応するべきだ。(管理者として)善管注意義務違反との指摘を受けないためにも…。

拒否連絡先: 東京電力(0120-926-488)

【事業用電力】
50kW以上の電気を必要とする事業所の契約電力のことで規模の大きなマンションが該当する。(小規模マンションの場合は一般家庭用電力)
住居専用の場合は50戸あたりが(事業用と一般用の)分岐点になりそうだが、設備の状況によりことなるため一概にはいえない。20戸未満の小規模マンションでも、1階にコンビニ等がある場合は業務用になる場合がある。

2012年3月10日

管理費の見直しを考える

足立区主催セミナー講師   (~管理費の見直しを考える~)
 恒例の足立区主催分譲マンションセミナー&交流会が3月3日、西新井の教育相談センターで開催された。このセミナーは今回が21回目。適正化法が施行された平成14年頃から続いている。この間、担当部局の組織変更等があり、挨拶に立った課長は5人目を数える。
 今回のセミナーでは、私が講師を勤めた。通常講師は複数で担当する方法をとっているので、持ち時間は90分程。この時間で管理費とは何か?管理費に特徴はあるか?管理費の見直し事例から学ぶことは?管理費の適正水準はどのくらいか?といった疑問に答える形の講義をした。
 熱心な皆さんに理解してもらえるよう努力したつもりだが、残念ながら時間という制約もあって、参加者の理解度に応じた講義をするという配慮はできなかった。一番残念なことは、予習した内容の60%程度しか説明できなかったことだ。もっとも、昔、天気予報を担当していた著名な方の言葉「伝達率」という話の中では、「毎日説明しているのだが、帰宅後ビデオを見ると60くらいしか表現されていない」と言っていた。解説を毎日している人でさえ上手くできた時で80%とのことだったから、それから言うと、セミナー講師5回ほどの自分としては、まずまずの出来だったかな…。
 今回私がテーマとしたのは、マンション世帯主の高齢化が進む中、経年による積立金の増加と年金収入減少傾向に対する備えをどうするか、ということ。言葉を変えると、今後経年マンションの修繕積立金原資をどこから調達するのか、ということになる。65歳からの将来のこと、10年先とか20年先を考えているのだが…。
 この点に関しては、レジュメに従い講義の導入部分では話したのだが、その後、詰めが少しあまくなり、弐の矢、参の矢を飛ばすことがなかったので、参加者にどの程度理解されたかは疑問だ。この点は大いに反省しなければならない。
またこのセミナーでは、足立区と中野区、川口市とを比較する形で、管理費が一律ではないこと、分譲の時期によって当初設定額に高低があることなどをデータで示したけれども、PCデータをスクリーンに映しても特に数字の場合は読みづらい面があって、参加者は理解するのに苦労したかもしれない。この点は次回以降更に改善を加えて、より分かりやすい方法を検討する必要がある。

セミナーで使用したレジュメと配付した資料は以下のとおりですが、管理費の評価表については、上部グローバルナビゲーション「委員会案内」の自己診断表と同じなので、省略します。

【用語解説等】
居住者の高齢化問題 《全国マンション実態調査:60歳以上の世帯主》
 〈S55〉7.9%⇒〈H15〉31.7%⇒〈H20〉39.4%

「伝達率」→ 相手への伝わり具合=説明の仕方×受講者の理解力 
人前で話した内容をビデオ再生してみると、自分では100の内容を話したつもりでも60くらいしか表現されていない。いくらうまく話しても80ぐらいしか表現されないと仮定し、更に一般の人が聞いて理解するのは、理想的な場合でも80%くらいと仮定すると、自分の考えが相手に伝わるのは64%(0.8×0.8)程度といえる。

●多くの場合、表現率も理解率も低くて、それぞれ50~60%程度であるから、伝達率は25~30%にしかならない。

●大切なことを伝えたい時は、同じことについて角度を変えて3回以上は理解を求め必要がある。


【セミナー配付資料】

マンションの管理費について △△ レジュメ △△
~管理費等の見直しを考える~           

Ⅰ.「管理費等の見直し」について
 1.はじめに
   ・年金生活者にとっての「管理費」とは。将来の展望は?総てお任せでよいの
  か?
   ・管理費とはなにか? その中身は?

 2.管理費の特徴(全国一律ではない) 絶対額は存在しない→相対的比較
   ・金額に影響を及ぼす要因は何?  建物立地地域、居室の大小、1棟の
      規模、築年、設備状況、管理形態等々 
  ①地域別の高低比較:「三都比較」 初期設定値(初期値)は分譲価格に比例
     する?
  ②居室の大小:物差は? →「㎡あたり管理費」
     計算式=管理費月額÷専有面積
 
◇管理費についてのまとめ                          

 3.管理費の見直しについて
  ①5段階評価で、自らの管理費水準を認識しよう                
  ②ABC分析で大きな費用から内容を知ろう! 
  ③「管理委託契約書」に疑問を感じたら「標準管理委託契約書」と比較して
      みよう
   ・業務の必要性を確認し、仕様書を読み込み精査する。
   ・履行調査してみよう。(契約締結→履行→確認→請求書受理→支払) 
  ④管理組合の決算書に、「個別費用科目」を表記してコストを見える形に
     する
  ⑤事例研究1(管理委託契約内容の見直し)  その他

Ⅱ.「管理委託契約書」を読む (事例研究2)                   
 1.管理組合の支出
  ・管理委託費
  ・直接発注費 
 2.管理委託契約書を読む
  ・どの業務をどのように行なうか? その費用は? 契約期間が管理会社
       に有利なケースは
 3.外部への直接発注
  ・直接発注のメリット
  ・管理会社の協力が得られない?
 4.ポイント


【セミナー配付資料2】◆ 管理費についてのまとめ ◆

1.管理費とは、建物や設備の維持管理、共用部の光熱費等並びに管理組合運営
   に必要な経費として執行される費用の総称。その負担については、法や規約
   に規定され、区分所有者全員が負わなければならない重要な義務とされてい
   ます。
2.管理費は、地域や場所、建物竣工時期、1棟の規模、設備状況、管理の方法
   等によって負担水準が異なります。
3.維持管理等に必要な各種契約は、契約自由の原則に基づいて行なわれる結
  果、「絶対額」という形での金額は存在しません。したがって、管理費の水準は
  「相対比較」で判断することになります。
4.部屋の広さの影響を排除した指標を「㎡当り管理費」という。広さの影響を排
   除するので、こちらの方が的確な「ものさし」になります。

【足立区内の現状等について】
1.足立区内には1,000を超えるマンションがあり、管理費月額について言え
   ば2,500円から27,600円まで、幅ひろく分布している。 管理費は
   専有部面積に比例するので、広い部屋は高いということも一因だが、高いとこ
   ろと安いところで10倍以上の開きがある。
《「㎡当り管理費」に置き換えると、安いところは70円、高いところは440円》
2.高いからといって、無駄なお金を支出しているとは限らないが、管理費が高い
   場合は、修繕積立金を低くおさえて、合計額で帳尻?を合わせることがある。
   帳尻合せは、管理組合運営を管理会社に丸投げしている「おまかせ管理組合」
   に顕著に見られる。
3.バブル期に分譲されたマンションは、その分譲時期との関係で注意が必要。分
  譲からこれまでの間に、一度も見直しが行われていないところは「おまかせ管
  理組合」の疑いがあるので、自らが主体となって評価・検討すべきです。
4.足立区内マンション(ファミリータイプ)の平均㎡当り管理費は約200円程
  度。  これは平均価格だから、下回っている管理組合もある一方で、上回ってい
  る管理 組合もたくさんあります。
《管理費自己診断の評価『1』及び『2』に該当する管理組合が、全体の約3割
   を占める》

▲まずは管理費自己診断を行って、自分たちのマンションの「管理費水準が世間
   と比べてどうか」を評価してみましょう。
●評価『1』及び『2』に該当する管理組合は、その負担が世間一般よりも割高
 なので、専門家に相談する等、適正管理費へ置きなおすことを勧めます。 

2011年11月29日

高層階の7割 『家具が転倒・移動』

23.11.13
11月11日朝刊に「高層階の7割『家具が転倒・移動』」という記事が掲載された。
1月には『「ゆっくり揺れ」対策 超高層に義務付けへ』という見出しで、長周期地震に対する国の方針が示され、4月には「新宿高層ビル揺れ13分」という見出しで、東日本大震災時の横揺れを計測した結果が報告されている。
今回の記事は、3月11日に発生した東日本大震災時の超高層マンションの揺れの影響を、高層・中層・低層階に分類して実際の影響度合いを調査したもの。(東京理科大が調査)
調査結果によると、タンスや冷蔵庫といった家具類の転倒・移動は高層階が大きかったのに対し、室内の壁紙などの亀裂は低層階の方が多かった。揺れ幅は高層階が大きいが、住居の一時的な変形は低層階ほど大きいことが亀裂に影響しているとのことで、素人の想像と概ね合致する内容になっている。
 首都直下地震が懸念される今日、超高層はもちろんのこと、一般的なマンションについても、タンスや冷蔵庫といった家具類の転倒防止策は必需なので、いまだに何の手立ても講じてないという人は、特に深夜発生を想定した対策→寝室の家具類などに至急防災対策を実施しましょう。

2011年10月23日

マンション役員・門戸拡大

23.10.20新聞に、「マンション役員 門戸拡大」「国交省 第三者も容認へ」という見出しの記事が掲載された。
「深刻化している分譲マンションの管理組合役員のなり手不足を解消するため、国土交通省が住民や所有者以外の第三者も役員になりやすくするための基準作りを始めた」
その背景として、「ある築30年超マンションの例。古い耐震基準で建てられたため、耐震工事も必要だ。だが、管理組合総会を開いても、白紙委任状ばかり。出席者はいつもきまった10人ほど。予定外の出費をほかの所有者に納得してもらうのは難しい。あきらめにも似た気持ちになる。」という事例を紹介している。

新宿区が実施したマンション調査では「日頃困っていること」として、54%の管理組合が「役員のなり手不足」を上げている。このことからもこの問題が深刻さを増していることは間違いない。なり手がないことの具体的な影響は、役員数が定数に満たないため理事会が機能しないケース、又は同じ人が繰りかえし役員になって員数あわせをするような形となって現れる。
基準作りでは「所有者以外の第三者も役員になりやすくする」ということだから、「役員数が定数に満たないため理事会が機能しない」や「同じ人が繰りかえし役員になって」の負担解消策としては有効かもしれない。
しかし、視点を変えて問題の本質を考えた場合はどうなのだろうか?この問題の根底にあるのは、無関心組合員の増加ではないのか。「総会を開いても白紙委任状ばかり。出席者はいつもきまった10人ほど」という記述の裏にある「責任感も義務も感じない組合員の存在と、そういう人がほとんど」という状況の方が問題なのではないか。

ここを終の棲家と考える人は、維持管理をしっかりして、よりよい環境や住み心地の良さを保持したいと考える。他方、他者に無関心な人や転売・転居を考える人、不動産は利潤を求める手段と考える人たちは、管理運営に興味は薄い。入居当初は子育てを通して交流があるが、子どもが家を出ると親の世代が残り、やがて親が亡くなると部屋は賃貸に出される、というのはよくある形だが、賃貸が増加すると「マンションの管理は誰かがやること」「例えば管理会社」がやることだ程度の発想が蔓延する。

管理組合が一部の人たちの努力によって維持・運営されるとしたならば、衡平の観点から考えて、役員報酬などでその労に報いる対策が必要だが、それ以上に重要な課題は、熱心に取組んだ人たちの成果を、結果的に享受する無関心で非協力的な組合員に対する施策ではないか。
組合員としての義務を果たそうとしない無関心で非協力的な区分所有者に対して、運営に関心を持たざるを得なくなるような形、強制力のある仕組み(成果や享受する利益に見合った負担を付加するなど)を作ることが求められている。例えば外部居住者に対する協力金の徴収のように。


【参考情報】
①H23.7「標準管理規約」の一部改正。居住していない所有者も役員になることができる
②国交省によると、マンション管理士や弁護士などの第三者が管理組合の責任者を務めている組合は全国に5%ほどある。

 

2011年10月16日

ドア・サッシをリースで交換

『マンションドア・サッシ交換「リースで一斉に」業界参入』という記事が14日、新聞に掲載された。

居室の玄関ドアや外部に面した窓やサッシ類は一部を除いて共用部なので、区分所有者が勝手に工事を行なうことはできない。築年数が高じたいわゆる経年マンションでは、断熱等に課題がある場合があって、結露やすきま風といった居住性の悪さに悩まされる。4~5年ごとに行なう長期修繕計画の見直し時にその改善策を盛り込み、大規模修繕工事に必要な資金の積立を行なっていればよいのだが、ことお金の拠出に関しては組合員の合意形成が難しいらしく、国交省が5年ごとに行なう実態調査結果を見ても充分に配慮されているとは言えないのが現状である。

手持ち資金を上回る大規模工事を行なおうとする場合にどうするか?
これまでは組合員から一時金を徴収するあるいは住宅金融支援機構等の金融機関から借入する、この両方を使って資金調達するといった方法に限定されていた。
そのような中、大規模修繕工事のある部分だけが対象とはいえ、資金調達面での不安を解消できる選択枝ができるということは、建物等の維持管理面で有効な手段の一つになるものと期待される。

問題はコストパフォーマンス面だろう。
記事によれば、52世帯規模で、玄関ドア交換、窓はペアガラスで古いサッシの内側にはめ込む「カバー工法」、全体では167セットを交換し、費用は約3,250万円だったとある。
それを月々約30万円、10年のリースにし、10年後に所有権が管理組合に移る仕組みで契約するとのことだから、単純計算では、1世帯あたり3.2セットを62.5万円で施工し、借り物の金利は約1~2%となるようだ。

これが高いか安いかは、建築士等専門家の工費判断を待たなければならないが、先に述べたとおり、大規模修繕工事では緊急性の高い工事が優先され、居住性能向上等の改良工事については組合員の合意形成が得づらい状況のなかで、一つの有力な選択枝となりうることは喜ばしいことだ。
経年マンションで結露等の悩みを抱える管理組合では、長期修繕計画を見直す際に改良工事を追加するなど、住んでいる人達がいま現在を快適に生活できるよう配慮してはどうだろう。

なお、この事業はLIXIL(旧トステム)と三菱UFJリース、YKK APと東芝ファイナンス、三協立山アルミとオリックス等が事業化しているとのことなので、興味がある方は問い合わせてみるとよい。

2011年8月 3日

塗る太陽電池

不祝儀があって、しばらくブログを書くことができなかったが、漸く落着いてきたので、先月(H23.7.19)新聞に掲載された記事のことを書くことにした。

東日本大震災後の原発事故が、その終息時期が見えない中、現実の政治課題である「再生エネルギー法」が審議されているこの時期に、新たなそして大変楽しみな技術が実用化に近づいた、との記事が載った。

それは、「塗る太陽電池」の事だ。
太陽光発電のことは、これまでもこのブログに書いてきたが、結晶シリコンをガラス板で挟んだパネルを太陽に向けて設置する機器で、屋上等に広いスペースが必要だ(逆にいうとスペースという制約がある)という程度の知識しかなかった。
今回、三菱化学が開発した技術は、炭素化合物を使ったもので、乾いて固まると「半導体」の役割を果たし、配線を施せば光に反応し電気を起こす。「塗る」ものだからマンションやビルの壁、車のボディーで使える。(その他のイラスト例示として工場の屋根、高速道路の防音壁が書かれていた)
太陽光パネルは厚さが数センチ必要だが、この方式だと1ミリ弱で済み、重さも同じ面積なら、結晶シリコン系の10分の一未満に抑えられるという。しかも量産しやすい技術とのことなので、紙面にコスト面の記述はなかったが、筆者の経験から言うと低コストの期待が大きい。
2013年ごろに出回ることになりそうとのことだから、いまから2年後が楽しみだ。

このような新技術は、新築マンションでは必須の設備になっていくと想定しているが、問題は既存のマンションだ。組合員の利便性や資産価値の向上といった観点からいうと、最新技術のプライオリティは高い。それほど高額な設備ではない反面、在るとないでは圧倒的な差が生じる設備だから、長期修繕計画を見直す際には修繕項目に追加するなど、時代を見据えた新技術導入を念頭に置いて、早めに手当てすることを推奨したい。

2011年7月 6日

被災マンションの解体

「被災マンション解体できない  所有者全員の同意が壁」という見出しの記事が7月1日朝刊に掲載された。
『東日本大震災とその余震で、仙台市では60棟が「全壊」と認定されたようだ。このうちの2棟は管理組合が解体を決めたが、実行できていない。解体するには「所有者全員の同意」という壁が立ちふさがっているためだ。
 倒壊の危険があるとして住民は避難。建物は「建替え」か「解体」しか方法がないが、建替えには1戸約1,600万円の負担になる。解体だけなら震災の特例で市が担うため、住民負担はない。理事会は全会一致で「解体」を決めた。』という内容だ。

 なぜこんなことになっているのだろうか?住みたくても住めない家。倒壊して二次災害を発生させるかもしれない我家。そんな危険な建物になってしまったので、公の力を借りてとりあえず解体だけはしておきたい、というのが管理組合の主張だと思うのだが…。
 マンションの権利関係は、民法の特別法である「建物の区分所有等に関する法律」にほとんどのことが規定されている。老朽化等に伴う「建替え」や建物価格の2分の1を超える滅失を復旧する「大規模復旧」については、合意形成手続等を含む諸規定が定められている。また阪神・淡路大震災が契機となって、マンションが全部滅失した場合でも一定の要件の下で多数決により建替えができることにした法律「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(※1)が制定されている。
しかし、本事案のように将来の再建に向けて、その前段階として「解体=消滅」を先行する場合については、被災区分所有法のような法律がないため、多数決で実施することはできない。紙面指摘のとおり民法§251に基づく共有者全員の同意が必要となる。原発事故でよく使われた「想定外」の出来事が生じたのだ。
 法律を前にして身動きが取れない区分所有者と管理組合(※2)を救済するため、早急な立法措置が望まれる。


【用語解説】
「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(略称:被災区分所有法)
 大規模災害によりマンション等の建物が全壊し、区分所有建物としての権利
 が消滅した場合、残されているのは共有敷地権のみとなる。建物を再建する
 ためには、敷地共有者全員の同意がなければならないとする民法の規定によ
 り、なかなか再建が進まない事態になりやすい。そのため、敷地共有者の
 5分の4以上の多数議決により、再建を行えるようにするものであり、1995年
 1月の阪神・淡路大震災を受け、同年3月立法化された。

「管理組合」
 「建物の区分所有等に関する法律」(略称:区分所有法。1962年公布)第3条
  に定める区分所有者の団体。
 ただし、建物が全部滅失した場合は、区分所有法の適用はなくなり、同法に
 基づいて制定した管理規約も失効する。

2011年6月13日

管理員人件費について

当委員会の質問欄に、管理員の給与や人件費についての質問が時どき寄せられる。質問の多くは、管理業務委託費のうち管理員費用が○○○円/年だが、この金額は高いのか、それとも他のマンションに比べて安いのか?といった管理員人件費の妥当性に関するものだ。
(管理組合にとって)管理員人件費は、管理会社から提供されるデータ以外に入手することは難しく、売り手側からの一方通行、言いなり価格になりやすいという問題がある。
少し前のことだが、ある大規模マンションの居住者が「うちの管理員さんの給料はすごい。サラリーマンの夫より相当多く貰っている」と会話するのを聞いたことがある。その方は、定期総会議案書(収支報告書)に計上されている管理業務委託費用の大部分を管理員が収入にしている、と勘違いされたようだが、マンションに詰めているだけで一千万円を超える金銭が貰えると考える社会感覚の無さには驚いた。
管理組合運営については、無関心組合員の存在が大きな問題として提起されていて、前記の方もまたそのお一人のようだが、管理組合の方も、もっと分かりやすい形の収支報告書(管理員人件費科目として独立計上する)に改良して組合員に提示したならば、このような誤解や勘違いは生じない。法(§43)により、集会での報告義務を課せられている「管理者」(※1)は、報告にあたっては、「マンション管理適正化指針」(※2)等に基づき、できるだけわかりやすい議案書を組合員に提示する必要がある。
さて、首題の管理員人件費であるが、当委員会では、管理会社の求人情報を定点観測する方法により、過去約20年間の採用金額を調査した。それによれば、ここ何年かは月額16万程度で安定的に推移していて、大手の中には13万程度で求人する会社もある。2007年問題(※3)以降は弱含み(下がりやすい状況)で推移していると考えて間違いない。
なお、この求人金額は、労働時間数によっても異なっているので、自分のマンションの管理員勤務時間を考慮する必要がある。ちなみに、月額16万程度を時給に換算すると900円から1,100円になる。また、この金額は求職者が得る給与のことなので、雇用主である管理会社が人件費等として負担する金額は、社会保険料や通勤費等の諸費用を含めて考える必要がある。(その金額は給与の約2割増しになる)
管理会社から、管理員人件費として月額19万以上請求されている管理組合は、業務の履行状況や勤務時間数について過大請求されていないか等、内容を精査してみる必要がある。

※1 多くの管理組合が規約で理事長を管理者と規定している
※2 「マンション管理適正化指針」マンション管理適正化法第3条に基づき、
     国土交通大臣が定めて公表する管理運営に関する指針
※3 団塊世代が退職期を迎え、一度に大量の退職者が生じるところから社会
     問題化が懸念された

●管理員人件費の妥当金額
  詳しくは上部グローバルナビゲーション「主宰者の実務研究」をご覧ください

2011年6月10日

「電気&設備」と節電

「夜の電気代安く」という見出しの記事が6月9日朝刊に掲載された。
『NTTファシリティーズは、電力を提供している首都圏の9マンション(3千世帯)の電気料金を、昼は高く、夜は安くする。電気需要が多い昼の使用を控えてもらい、15~20%の節電を目指す。
 同社は電力小売事業者「エネット」から一括して電気を買い、マンションの各世帯に販売している。このため、東京電力とは別の料金設定ができる』という内容だ。
 
 東日本大震災と原発事故により、今後のエネルギー政策(自然エネルギーへのシフト、発送配電分離⇒完全自由化)の動向が注目を集めているが、この記事でも分かるとおり、電力の一部(業務用や産業用)については、既に規制緩和されている。記事は電気エネルギーに関する社会的関心の高まりを受けて、その一形が例示的に示されたものだ。
 この制度の特徴は、集合住宅の規模のメリットを利用したところにある。マンション全体を一つの大口契約者とみなして、電力会社から高圧の事業用電力を一括購入し、変電設備で低圧電力に変圧後マンション内(専有部分)へ配電する。電気代を割安にする目的から、新築時にこのシステムを導入するところが増えていて、変電設備は一括購入する事業者が設備するようだ。(居住者は、一括購入事業者と契約・料金支払を行い、東京電力と直接契約しない)
要約すると、割安な事業用電力と割高な民生用(家庭電源)の価格差を利用した仕組みということになるが、実はこの仕組みを使った事業を東京電力も行なっている。(「東電も家庭向け割安電力 マンションで一括契約」2004/7/28。記事には通常より5%程度安い電気代と書かれている)

以前このブログに書いたが、屋上などマンション共用部には自然エネルギーを利用するときに必要な機器設置スペースがある。敷地や建物の遊休スペースを使って、太陽光発電などでエネルギーの自給自足を図ることは、ある意味で社会貢献にもなる価値ある取り組みだと考えているが、現状具体的な取り組みは遅れている。
将来、そのような取り組みが世間一般に広く浸透する頃には、電力の完全自由化が実現しているかもしれない。その時に、記事のような価格差を逆手にとった方法の有効性は評価されるのだろうか?時代遅れになっている懸念はないか。そのように考えたとしても、現時点で出来ることとしては、電気料金節減の一つの有効な手段であることは間違いないと言えるだろう。
既存マンションは目先のコストダウンを考えるより中長期的な視点で物事を考える必要がありそうだ。


【用語解説】
 1995年 電力会社に卸電力を供給する発電事業者の参入が可能になる。
       大型ビル群など特定の地点を対象とした小売供給が特定電気
            事業者に認められる。
 2000年 2,000kw以上で受電する大需要家に対して、特定規模電気事業者
              による小売が認められる。
 2005年 特定規模電気事業者の基準を50 kw以上に改正。