2010年6月14日

マンション標準管理委託契約書が改訂された

先に書いたとおり、昨年5月、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の「施行規則」が改正・公布され、本年(平成22年)5月1日から施行された。

施行規則の主な改正事項のうち、管理委託契約に関係する項目は、次のとおりだが、
① 管理組合財産の分別管理の方法(§87条2項関係)
② 保証契約の締結(§87条3項関係)
③ 印鑑等の管理の禁止(§87条4項関係)
④ 会計の収支状況に関する書面の交付等(§87条5項関係)

法律改正があった場合、管理組合の管理者等が気をつけなければいけないことは、管理委託契約書という実務面での大切な書類の中身を変更する必要がある、ということだ。
国土交通省は、「マンション標準管理委託契約書」を公表しているが、今般、法律改正に伴う事項のほか、実務上当事者間でもめそうな事項(例:滞納者に対する督促関係、長期修繕計画の作成関係)についての見解を明らかにするような形で「マンション標準管理委託契約書」を改訂した。
そして改訂された「マンション標準管理委託契約書」は、法の施行日である平成22年5月1日以降、新たに締結する又は更新する「管理委託契約書」から適用されるので、更新期をむかえる管理組合は内容を十分検討して、適法・適正な管理委託契約書を取り交わす必要がある。

※詳しくは上部グローバルナビゲーション「主宰者の実務研究」からどうぞ。

2010年6月10日

マンション管理適正化法「施行規則」が改正され5月1日施行された

昨年改正・公布された「マンション管理適正化法・施行規則」が5月1日施行された。
主な改正事項は次のとおりだが、肝心なことは、この改正規則が5月1日以降に契約する又は更新する「管理委託契約書」に適用されることにある。
● 施行規則の主な改正事項
1.管理組合財産の分別管理の方法(§87条2項関係)
2.保証契約の締結(§87条3項関係)
3.印鑑等の管理の禁止(§87条4項関係)
4.会計の収支状況に関する書面の交付等(§87条5項関係)
5.業者標識の表記事項     等

今回の改正は、平成13年に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」により、マンション管理の適正化措置が講じられたが、管理業者が管理組合から委託を受けて行う出納業務において、横領事件等が依然として発生していることから、管理組合財産の保全策ということに軸足を置いた改正になっている。
財産の分別管理の方法は、これまでの「原則方式」「支払一任代行方式」「収納代行方式」という呼称が廃されたので、一見すると大きな変更があったように見えるが、「収納口座」「保管口座」という名称は実務上これまでも使う場合があったし、内容を精査するとこれまでと大きな違いはないことがわかる。むしろ「収納・保管口座」という名称を含めて、わかりやすくなったのではないだろうか。
今回改正の目玉は、毎月の会計収支報告にある。会計収支報告については、これまで決算期末の1回だけだったものが、毎月報告が義務付けられた。実務上、月次決算を毎月報告している管理会社は、これまでも大手・中堅を中心に見かけることはあったが、今後は全ての管理会社が義務付けられるので、この効果が期待される。
もっとも、毎月報告されたとしても、管理組合側にその中身を吟味できるスキルがない場合は、金銭事故防止あるいは合理的運営といった目的達成はできないので、管理組合の人材育成も肝要だ。人材育成が間にあわない等の場合は、外部顧問や抜打ち監査を依頼するなどの対応を検討するのも一方だ。

※ 詳しくは上部グローバルナビゲーション「主宰者の実務研究」からどうぞ。

2010年5月30日

自転車シエア

先日、「電気自動車シェア」のことを書いてから思い出したことがある。自転車シェアについての記事がスクラップしてあったのだ。
平成22年1月6日(夕刊)に「自転車シェア都心流 (高層マンション置場なくて)」という記事が掲載された。
港区内の賃貸マンションの事例として、「駐輪場の不足分を20台のレンタル自転車で補っている。電動と一般があり、登録制で月額1,050円。1回6時間の制約はあるが基本的に使い放題。無人の宅配用ロッカーにカードキーをかざし、電動自転車のカギとバッテリーを取り出す仕組み。返却もカギとバッテリーをロッカーに戻すだけ。自動で充電される。コンピューター管理されており、住人は携帯電話のサイトで空き具合を確認できる。管理側も借りた人を把握でき、返却漏れなどを防ぎやすい。」という内容だ。

そして『宅配ロッカーで管理』との見出しで、「マンション側の悩みを耳にした宅配ロッカー大手のフルタイムシステム(千代田区)が三井不動産などと協力して自動管理システムを開発、販売した。今年度末までにマンション93棟で約700台が稼動する。1台あたりの初期費用約25万円。」という記事が続いていた。

管理組合がシェアを考えようとしたとき、一番の障害事項は『貸し出し、もどしなどの管理運営をどのようにしたらよいか』ということであろう。その点この仕組みは管理する側の負担が少ないうえ、利用者の使い勝手がよい優れものだ。
宅配ロッカー設備契約の有無との関係などわからないことがあるが、駐輪場が不足している、あるいは2段式駐輪設備では子供椅子つき自転車が入れられないなどの困りごとを抱える管理組合は、初期費用約25万円の多寡を含めて一度検討してみたらどうだろう。

また、行政主導で進められている自転車シェア関係記事「富山市・北九州市 初の事業化」が平成22年5月7日に掲載された。

※二、三日前のことだが、ラジオを聴いていたらイギリス在住の人が、ロンドンの自転車シェアのことを話していた。ロンドン(市が事業主体らしいが未確認)は登録制で、最初の30分間は無料、その後1時間あたり1ポンド(約130円)と報告していた。(22.9.3追記)(時間当たり金額については聞き間違いがあるかもしれないので、興味がある人は自ら確認してください)

2010年5月25日

加藤元名人に慰謝料命令(野良猫餌やりも禁止)

一昨年12月頃ブログに書いた裁判(餌やりの中止と慰謝料など約640万円の支払いを求めた)の判決が13日、あった。裁判長は原告の訴えを認め、加藤さんに餌やりの中止と慰謝料204万円の支払いを命じた。(加藤さんは控訴予定?)
裁判長は判決の中で、「猫には、餌やりだけでなく、ダンボールを用意してすみかを提供しているのだから、『飼育している』と認めるべきだ。猫は原告住民に様々な被害を及ぼしており、『迷惑を及ぼす恐れのある動物を飼育しないこと』と定めた管理組合の条項に違反し、住民らの人格権を侵害する」と慰謝料の支払いを命じた。加藤さんの「猫は『迷惑を及ぼす恐れのある動物』にはあたらない」との主張には、「小鳥や金魚は含まれても小型犬や猫は含まれない」と判断した。そのうえで「動物は家族の一員、人生のパートナーとしてますます重要になっているが、集合住宅にはアレルギーの人もおり、人と動物との共通感染症への配慮も必要。犬や猫の飼育を認めるようにするには、集合住宅の規約の改正を通じておこなわれるべきだ」との考えを示した。(以上、朝日新聞記事抜粋)

マンションには年齢、性別、人生経験や考え方が異なる人、あるいはサラリーマン、自営業、フリーター、会社役員などいろいろな職業従事者、妻帯者や単身者といった家族構成、そして乳幼児もいれば学生、高齢者もいる。そのような雑多な人たちが、一つ屋根の下で隣り合い、上や下に重なり合って生活する共同住宅なのだから、ルールやマナーが必要だということは理解できると思う。自身の価値観や信念に固執することは、一面では立派なことかもしれないが、このような住環境でのコミュニティ形成を前提にした場合は、社会適応性に課題がある「自己中」といわれても仕方ない。動物愛護は大変重要で意義あることであるし、単身者のいやし系としての期待もあるが、愛護の手段は、他者に理解され受け入れられる方法でなければならない。
共同住宅で大切なことは、ルール遵守と少し我慢して他者を思いやる心の二つなのだ。

判決の中で裁判官は、「迷惑を及ぼす恐れのある動物」について「小型犬や猫は含まれ、小鳥や金魚は含まれない」と判断した。このことも参考にしつつ標準管理規約の解説を見ると、第18条(使用細則)のところで次のように記述している。
〔ペットの飼育を禁止する場合〕
第○条 …略… 犬、猫等の動物を飼育してはならない。 ただし書き略
〔ペット飼育を容認する場合〕
第○条 …略… 使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし書き略

また、5月23日朝刊に〔かむ・ひっかく 犬や猫から細菌〕 高齢者ら感染死の例 という記事が掲載された。「犬や猫の口の中にいる細菌に、2002年から14人が感染、発症し、うち6人が死亡していることが、国立感染症研究所のまとめでわかった。『カプノサイトファーガ感染症』とよばれるが、実態がよくわかっていない。見逃されている患者も多いと見られ、厚生労働省は24日、関係機関に文書で注意を促す」という内容だ。
この記事については、裁判官が指摘していることとも関連がありそうなので、参考にしたい。

 

〔参考:人格権〕
生命・身体・自由・貞操などの人の身体的側面に関する利益、および名誉・信用・氏名・肖像などの人の精神的側面に関する利益を総称して人格権とよぶ。民法は、他人の身体・自由・名誉を害すると、不法行為として損害賠償責任を負うことになる旨を規定する(710条)が、他のもろもろの人格的利益の侵害についても同様のことが妥当とする。たとえば、他人の氏名や肖像の無断使用、貞操の侵害、生活妨害なども不法行為となる。また、人格権の侵害に対しては、差止請求権が生じる、とするのが最近の学説および下級審の判例である。〔辞典より抜粋〕

2010年5月 7日

マンションに防災倉庫 促進(都、住居面積に含めぬ新制度)

4月26日朝刊に首題の囲み記事が掲載された。
「地震などの大災害に備え、防災備蓄倉庫を新築のマンションに備えた場合、倉庫分の面積を、建築できる延べ面積に上乗せできる制度の導入を決め、今秋にも実施する。都内で急増する高層マンションの中高層階への倉庫設置を促し、エレベータが止まっても住民が階段を上り下りせずに、非常食などを受け取りやすくするねらいがある」
「今回導入する制度は、都が建築許可を出す大規模物件が対象で、敷地に応じて設定される延べ面積の上限に、倉庫分の面積を上乗せして建てられるようにする」という内容だ。
防災倉庫は災害時に住民が利用する非常食や飲料水、毛布、簡易トイレなどを保管するスペース。マンションの延べ面積は敷地の広さに応じて決まるが、高層マンションに限らず防災倉庫のない物件が多いのが現実。『倉庫を設けるには住居部分の面積を削る必要があるため、分譲業者は販売戸数が減ることを嫌い、自発的につくることが少ないのではないか』との行政側のコメントも掲載した。

この制度には大いに期待したい。
以前、30階建ての複合用途型(住居300+店舗等12)の管理組合運営に係わったことがある。最上階は地上から100mなので眺望が良い。しかし、いざという時には大きな問題が懸念された。
大規模災害時に懸念されることは、建物損壊を別にするとライフラインの寸断だろう。電気、ガス、水道といった生活に必須な部分が停止してしまったらどうなるか。眺望のよさを楽しんでいた「高さ」が、障害事項にはや代わりする。30階は階段数では約540段。あの金比羅宮785段、伊香保温泉360段にもそん色ない階段の上り下りは、若い人でも大変だ。物を持って上る姿を想像してみよう。その対策として、非常用自家発電装置が設置されているので、燃料がある間はエレベータも動くし水の供給(受水槽分)も心配ない。しかし、燃料供給体制については未検討だから、どの程度有効かはわからない。

現状、高層マンションに限らず大部分のマンションが防災倉庫を備えていない。それどころか、コミュニティ形成に必要な設備(集会室)や大切な管理組合資料を保存する場所がないといった問題に直面しているのが実態だ。分譲マンションの共用部分は必要最小限に止められている。広くすると1戸あたりの分譲価格が上昇し、売りづらくなるからだ。専有部分に強い関心がある組合員予備軍も、廉価なほうが魅力的だ。共用部のことや管理組合運営に関心を示さない予備軍の姿勢にこそ問題があるのだが、だからといって責めることはできない。問題を含みつつも、この関係は今後も変わらないであろうことを考えると、建築基準法の改正(共用廊下等の部分に係る容積率の不算入措置)が効果をあげたように、この制度導入が契機となって、共用部がより使いやすい形に誘導されることは望ましいことだ。既存マンションが羨望の目で見るような運用をおこなってほしい。

2010年5月 6日

電気自動車シェア

4発27日朝刊に「入居者で電気自動車をシェア オリックス分譲マンション」という記事が掲載された。このところ環境問題関連記事が目に付くが、マンションに関係した記事が増えていることも注目に値することだと喜んでいる。
以前、今回記事と類似性がある「プラグイン・電気自動車設備」のことを書いたが、それはどちらかというと設備系のことで、今回は管理運営ソフトの色彩が強い。
記事は「2012年完成予定の川崎市の高層マンション(33F,300戸)でハイブリッド車2台、EV車2台を初めて用意。カーシェア大手のオリックス自動車が運用し、月額数千円の基本料と時間や走行距離に応じた料金を払えば、利用できる。充電のための設備が必要だが、マンションの売りの一つになると見て、EV車の導入を増やしていく」という内容だ。

駐車場はマンション敷地の内、外どちらなのか、電気自動車充電設備は業者所有なのかなど、管理組合が負担することになる業務、費用等は、この記事だけではわからない。
わからないことは多いが、このような先進的な取組みには好感が持てる。最近の大規模マンションは、便利さや健康志向関連等を売りにしたものが多いが、「あればいいね」程度の設備はいずれ『不要不急」「分不相応な施設」として、管理組合運営の問題児になることが懸念される。しかし、今回のように社会全体が求めるような設備の場合は、その心配はない。

既存マンションでも、一定規模以上のところはこのような先進的な取組みを検討してみてはどうだろう。マンションの価値が上がることは間違いなしと思えるから、設備導入が必要な場合は長期修繕項目に入れるなど、時代を見据えた早目の検討をお勧めしたい。同時に、カーシェア業界の熱意にも期待している。

〔参考〕賃貸マンションの事例(新聞記事)
「三井物産は、自動車を複数の会員で共同利用する『カーシェアリング』事業で野村不動産投信と提携し、野村の賃貸マンション(駐車場が空いている物件)に子会社のカーシェアリング・ジャパン(サービス名『カレコ』)が貸し出し拠点を設けることにした」という記事が載った。(平成21年12月4日朝日)

2010年4月 2日

マンションの建て替え

22.3.29朝刊に「多摩ニュータウンで初めて全面建替えを決議した」という記事がのった。建替えそのものは珍しいことではないが、23棟640戸とその規模が大きいこと、同タウン内の他団地に及ぼす影響が考えられること、そして分譲共同住宅の建替えである点にニュース性がある、ということのようだ。

足立区内でも、1960年代から70年代初頭に竣工した中高層住宅のうち、旧日本住宅公団(現UR都市再生機構)が開発した西新井三丁目住宅は建替えられているし、最近ではやはり同時代の花畑団地について、取り壊しの上建替えることを決めるなど、その事例はある。が、それらはUR等公営企業の賃貸物件のことであって、分譲マンションの事例ではない。

今回の多摩ニュータウン「諏訪2丁目団地」では、住民の平均年齢が60歳を超す一方、エレベータがないことなどから、約20年の歳月をかけて建替え検討してきたという。そして建替え決議が可決した最大の要因は、建蔽率・容積率のゆとり部分を戸数増にあてて、その販売で得た資金により現在の住民には今の部屋の面積分について新たな負担が生じないように計画したことだと、容易に想像がつく。

築25年を経過しているマンションの区分所有者、管理組合役員は、自分たちの財産の行方に関することなのだから、この記事から決議が成立した最大の要因は何か?ということを学ぶ必要がある。敷地・建物と戸数の関係(建ぺい率・容積率)や建替え時点での組合員構成などを考慮して、「建替えで財産を維持」するのかそれとも「適宜適切なメンテナンスで長持ちさせることを志向する」のか、二者択一で方針決定することが求められる。

現在住む中野区には、有名なブロードウェイをはじめ1960年代のマンションが多数ある。足立区内でも築25年以上の経年マンションは全体の約16%を占める。これらのマンションは、いわゆる旧耐震基準で建設されているので、大きな災害にあう危険性が懸念される。「建替え」「永年使用」についての基本方針が決まっていない管理組合が多く存在すると想定しているが、事実としたならばその原因は、一般組合員の参画意識にこそ問題があるということを指摘したい。定期総会に出席して、将来のあるべき姿を話し合うべきだ。

2010年3月 1日

電気自動車充電 マンションOK

新聞に掲載(H21.11.26)されてから少し時間が経ったが、環境問題意識の向上に伴って普及が進むであろうことや、戸建は対応しやすい反面マンションではどうか…?と、考えていたことの解決策になりうる技術なので、書くことにした。

それは、プラグインといわれる家庭での電気自動車充電設備のことだ。
戸建の場合、車庫の電源を使用するのに何の不自由もないが、マンションの場合は、専有部からコンセントを引くことは困難だから、共用部に何らかの設備をしない限り、プラグインは難しいと考えていた。

今回、宅配ボックス大手の日本宅配システム社が三菱自動車と共同開発したシステム(i-CHARGER)は、宅配ボックスの個人認証方式を用いて、誰がどれだけ電気を使ったかを把握するというもの。充電器に個人を識別するチップ入りの鍵をかざして充電すると、宅配ボックスのデータベースに使用者と電気使用料を記録して、後日、管理組合などが使用者に請求するという仕組みだ。問題は費用だが、配線工事費を除き親機が30万円、子機が1台9万円だというから、それほど高いものには感じない。

電気自動車のこうした設備は、新築マンションでは必須の設備になると想定しているが、問題は既存のマンションだ。組合員の利便性や資産価値の向上といった観点から言うと、最新技術のプライオリティは高い。それほど高価な設備ではないが、在ると無いでは圧倒的な差が生じるから、大規模修繕項目に入れるなど、時代を見据えた早目の手当てを推奨したい。
なお、こうした設備の場合、メンテナンス費用が発生することが多いので、それらを含めて検討する必要がある。

2010年2月25日

悪質な家賃回収 懲役刑 (and 適正化法)

悪質な家賃取立てから借主を守る「追い出し規制法案」を政府がとりまとめた。これまでは民事トラブル扱いで警察は介入しにくかったが、悪質な取立ては違法行為として禁止。施行後は警察の捜査対象となり、懲役刑が科される。新法では、家賃保証業者は国土交通省への登録を義務付ける。無登録営業は法人が1億円以下の罰金、個人が5年以下の懲役か1千万以下の罰金、という内容だ。

ところで、マンション管理業界を規制する法律は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(通称:適正化法、平成13年8月施行)だ。同法には既に、記事の法案と同じような仕組みと罰則規定があるのだが、法律のタイトル(適正化の推進…)が影響しているせいか、無登録営業は1年以下の懲役または50万円以下の罰金という形で、法案の法人1億円に比べると量刑がかなり軽い。

自らが関係した管理組合が、管理組合を機能させる取組みを進める中で、10数年に亘って管理業務を行ってきた管理業者に退場してもらおうとしたことがある。業者の無登録営業を疑った時点で国土交通省関東地方整備局に確認したところ、担当者の回答は「こちらが接触すると自主管理に変更するケースがほとんどだ」という内容で、一応参考にはなったが問題解決にはつながりそうにない(というよりも問題を複雑化させそう)口ぶりだった。その後、知人から「登録業者の行政指導は地方整備局、無登録営業は警察」と地方整備局の担当者に言われたことがある、との助言を受けた。

冒頭の「追い出し規制法案」と「適正化法」の量刑の違いには問題を感じるが、もっと問題なのは、無登録営業を行っている業者に対する組合員等の態度にある。組合員によっては、違法行為と知りながら、その業者との結びつきを大切にする者もいる。適正化法施行以前からの付き合いで、気心の知れた者との関係は、不法行為を無視できるほど強力な接着力があるらしい。さらに問題なのは、役員の中にも、身に降る火の粉が心配で、警察行政相談にすら行こうとしない消極さがあることだ。多少の逆恨みは買ってでもやる覚悟で物事にあたらない限り、早期決着・早期適正化は難しいことは分かっているはずなのだが、残念だ。

無登録営業という不法行為を禁止し、組合員が主役になって、適切な管理運営を行うことが適正化法の目的の一つと理解するが、組合員が不法黙認しているようでは法の意図は生かされない。自分たちにとっての不利益は計り知れないのだが、そのことに気づいて、自ら適正化しようとしない者は法の救済を受けることができない。

2010年2月23日

アンケートで重要課題に民意を反映させる

長妻厚生労働大臣は、後期高齢者医療制度や年金問題など重要な政策課題に世論調査を活用する検討に入った。という記事が15日朝刊に掲載された。
世論調査は、まず一般公募モニター100人から直接意見を聞く。次に、有識者約1,000人を対象にしたアンケートで、専門的な問題点を洗い出す。さらに、国民にわかりやすい形でA案とB案を示し、どちらがよいか大規模なアンケートで選んでもらう。以上3段階方式を考えているらしい。
こうした方式を導入するのは、自民党・公明党政権下に始まった後期高齢者医療制度が、周知不足により高齢者から強い反発を受けたことが背景にある、と解説する。

ところで、このようなアンケート調査による民意把握方法は、管理組合運営にあたっても重要で役に立つ主要な方法だ。
例えば、外壁塗装を主とする大規模修繕工事を施工する際には、外部から見ることができない専用使用部分の現状調査や外壁の色選定についての組合員意向調査に使われている。また、ペット飼育可否についての管理規約改正問題などでは、賛成反対の二者択一議論のほか、条件付で認める方法を提案して、嫌ペットの人たちの理解を求めるなど、少しの工夫を加えることにより、多様な考え方、生き方を求める人たちの合意形成に威力を発揮する。

時として役員に対する不平・不満を耳にすることがあるが、そんな時役員側には「ボランティアで一生懸命やっているのに何だ」と、逆不満が生じる。原因は両者の意思疎通の悪さにあるのだが、管理組合運営をどのように行っているかを伝えることは案外と難しい。良好なコミュニティを形成しようと考えたら、役員は民意の把握に意を用いなければならない。

みんなのために何かを行う場合は、その課題に対するみんなの考えを聞く。その一手段として、アンケートを利用する。組合員の考えを知り、その気持ちに応えることが民主的な管理組合運営といえるのだから、念には念を入れて調査し、課題と解決策の周知をかねた手法として活用するとよい。