2008年12月22日

加藤一二三九段の迷惑行為

12.19付新聞に、将棋の加藤一二三九段が、管理組合と住民17人から「猫への餌やり中止」を訴えられ、第1回の口頭弁論が開かれたとの記事が掲載された。 訴状によると、「加藤九段は93年頃からマンションの専用庭や周辺で、野良猫に餌をやり始めた。現在は3、4匹と見られるが、一時期は十数匹が集まっていた。住民らは猫の排泄物による悪臭や汚れ、鳴き声に悩まされたり、乗用車が傷つけられたりしたとして再三、餌やりの中止を求めたが、拒まれた」としている。
今回の記事から見えてくる最大の問題は、野良猫が集まることによりいやな思いをしている人たちがいて、その人達が餌やりをやめて欲しいと再三申し入れたにもかかわらず、その行為を止めなかった点にある。
マンションという建物には、年齢、性別、人生経験や考え方の異なる人たち、妻帯者や独身者といった家族構成の違い、そして乳幼児もいれば学生、高齢者もいる。そのような雑多な人たちが、一つ屋根の下で生活する共同住宅なのだから、ルールやマナーが必要だという事は理解できると思う。そして一番大事なことは他者を思いやる心の有無なのだが、このような視点や自覚を当事者は持っていたのだろうか。いろいろな人たちが一つ屋根の下で生活する中、みんなとうまく付き合っていこうという自覚があったならば、訴訟という対決の図式に至ることはなかったのではないか。
標準管理規約でコミュニティ形成を求めている理由は、居住者同士が顔見知りになって、他者を思いやる心が生まれたなら、トラブルも初期段階で片付き、住みやすい環境になる事疑いなし、ということを経験的に知っているから規定した、と推察している。それなりの地位にある人ならばなおのこと、個の意思や考え方を主張するだけでは共同住宅、地域での生活が潤いあるものにはならない、ということを冷静に考えていただきたい。

また、本件に似た事例として『自室及びバルコニーでの野鳩の餌付けで、他の専有部分のバルコニー、付近の道路、家屋等が鳩の糞や羽毛によって汚され、悪臭の発生、羽音や鳴き声による騒音、ダニの発生等の被害が生じた。野鳩への餌付け・飼育行為は区分所有者の共同の利益に反する行為であるとして、使用貸借契約の解除、建物からの退去と引渡しを求めた』(野鳩の餌付け訴訟:平成7年東京地裁判決)がある。この訴訟は、専有部分を利用して行う餌付け等は、マンションの区分所有者の共同の利益に反する行為であり、その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共同生活の維持を図る事が困難な場合にあたると判断された。