悪質な家賃回収 懲役刑 (and 適正化法)
悪質な家賃取立てから借主を守る「追い出し規制法案」を政府がとりまとめた。これまでは民事トラブル扱いで警察は介入しにくかったが、悪質な取立ては違法行為として禁止。施行後は警察の捜査対象となり、懲役刑が科される。新法では、家賃保証業者は国土交通省への登録を義務付ける。無登録営業は法人が1億円以下の罰金、個人が5年以下の懲役か1千万以下の罰金、という内容だ。
ところで、マンション管理業界を規制する法律は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(通称:適正化法、平成13年8月施行)だ。同法には既に、記事の法案と同じような仕組みと罰則規定があるのだが、法律のタイトル(適正化の推進…)が影響しているせいか、無登録営業は1年以下の懲役または50万円以下の罰金という形で、法案の法人1億円に比べると量刑がかなり軽い。
自らが関係した管理組合が、管理組合を機能させる取組みを進める中で、10数年に亘って管理業務を行ってきた管理業者に退場してもらおうとしたことがある。業者の無登録営業を疑った時点で国土交通省関東地方整備局に確認したところ、担当者の回答は「こちらが接触すると自主管理に変更するケースがほとんどだ」という内容で、一応参考にはなったが問題解決にはつながりそうにない(というよりも問題を複雑化させそう)口ぶりだった。その後、知人から「登録業者の行政指導は地方整備局、無登録営業は警察」と地方整備局の担当者に言われたことがある、との助言を受けた。
冒頭の「追い出し規制法案」と「適正化法」の量刑の違いには問題を感じるが、もっと問題なのは、無登録営業を行っている業者に対する組合員等の態度にある。組合員によっては、違法行為と知りながら、その業者との結びつきを大切にする者もいる。適正化法施行以前からの付き合いで、気心の知れた者との関係は、不法行為を無視できるほど強力な接着力があるらしい。さらに問題なのは、役員の中にも、身に降る火の粉が心配で、警察行政相談にすら行こうとしない消極さがあることだ。多少の逆恨みは買ってでもやる覚悟で物事にあたらない限り、早期決着・早期適正化は難しいことは分かっているはずなのだが、残念だ。
無登録営業という不法行為を禁止し、組合員が主役になって、適切な管理運営を行うことが適正化法の目的の一つと理解するが、組合員が不法黙認しているようでは法の意図は生かされない。自分たちにとっての不利益は計り知れないのだが、そのことに気づいて、自ら適正化しようとしない者は法の救済を受けることができない。
