2011年1月14日

「ゆっくり揺れ」対策 超高層に義務付け

『「ゆっくり揺れ」対策 超高層に義務付けへ』という見出しの記事が1月11日、朝日一面トップに掲載された。
 「震源から遠く離れた高い建物を、大きく揺らす危険がある長周期地震に対応するため、国土交通省は新たに建てる高さ60m以上の超高層ビルやマンションに、長周期の揺れも考慮した耐震強度を義務付ける方針を固めた」という内容だ。
 これまでの(耐震強度の)構造計算は主に、阪神大震災のような短い周期の地震を想定していたが、超高層建物が急速に増加したこと、長周期地震では超高層建物の高い階ほど揺れが大きくなること、上層階では家具が数メートル動き、転倒する家具が凶器に変わる危険性があること等の指摘を受けて、長周期地震でどれだけ揺れるかを構造計算でシュミレーションすることを義務化することにした模様だ。新築の超高層マンションでは、家具が固定しやすくなるよう、壁や天井を裏から補強する下地材を設けるなど、転倒防止策を講じることも義務付けるらしい。
 すでに完成した超高層ビルやマンションでも、長周期地震に耐えられるかどうかの点検を任意で求める方針とのことで、その結果大きな揺れが予想される建物は、はりや柱に揺れを吸収する制震装置を設けて補強するなど、追加の対策工事を促すとのこと。

 以前管理に携わった30階建てマンションには、揺れを吸収する制震装置の設置はなかった。素人考えだが「高層建物は、竹のようなしなやかさによって地震エネルギー等を分散・受け止めているのだから、揺れることは当たり前」くらいに思っていたので、「免震構造」や「制震構造」といっても、そのメンテナンス費用の多寡のほうに興味があるのみで、構造上の不自然さは感じなかった。幸い大きな長周期地震の発生はなかったので、被害に遭うこともなかったのだが、ちょっとした地震でも、屋上に設置された受水槽等から水がすぐに溢れる、ELV機械室に設置された地震計の振れが大きいなどから、「地面と上では揺れ具合が違う」という実感はもっていた。
 長周期地震による被害を防止する観点から考えて、この改正は必要なことだと思うのだが、他方、超高層マンションの管理費は一般のマンションに比べて十分割高なことを想起すると、管理費等の更なるコストアップにつながるのでは、と気になる。景気が悪い中、「安全・安心」にかける費用負担は、どの程度が妥当なのか考えてみる必要がある。

【用語解説】
長周期地震   1回に揺れる周期が長いほど震源から遠くまで揺れが伝わる。周期が1秒以下の短い揺れでは木造住宅が被害を受けやすいが、周期が長くなると超高層マンションが揺れやすくなる。1985年のメキシコ地震では震源から400キロ離れたメキシコ市でも高層ビルが倒壊した。

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