2011年7月 6日

被災マンションの解体

「被災マンション解体できない  所有者全員の同意が壁」という見出しの記事が7月1日朝刊に掲載された。
『東日本大震災とその余震で、仙台市では60棟が「全壊」と認定されたようだ。このうちの2棟は管理組合が解体を決めたが、実行できていない。解体するには「所有者全員の同意」という壁が立ちふさがっているためだ。
 倒壊の危険があるとして住民は避難。建物は「建替え」か「解体」しか方法がないが、建替えには1戸約1,600万円の負担になる。解体だけなら震災の特例で市が担うため、住民負担はない。理事会は全会一致で「解体」を決めた。』という内容だ。

 なぜこんなことになっているのだろうか?住みたくても住めない家。倒壊して二次災害を発生させるかもしれない我家。そんな危険な建物になってしまったので、公の力を借りてとりあえず解体だけはしておきたい、というのが管理組合の主張だと思うのだが…。
 マンションの権利関係は、民法の特別法である「建物の区分所有等に関する法律」にほとんどのことが規定されている。老朽化等に伴う「建替え」や建物価格の2分の1を超える滅失を復旧する「大規模復旧」については、合意形成手続等を含む諸規定が定められている。また阪神・淡路大震災が契機となって、マンションが全部滅失した場合でも一定の要件の下で多数決により建替えができることにした法律「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(※1)が制定されている。
しかし、本事案のように将来の再建に向けて、その前段階として「解体=消滅」を先行する場合については、被災区分所有法のような法律がないため、多数決で実施することはできない。紙面指摘のとおり民法§251に基づく共有者全員の同意が必要となる。原発事故でよく使われた「想定外」の出来事が生じたのだ。
 法律を前にして身動きが取れない区分所有者と管理組合(※2)を救済するため、早急な立法措置が望まれる。


【用語解説】
「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(略称:被災区分所有法)
 大規模災害によりマンション等の建物が全壊し、区分所有建物としての権利
 が消滅した場合、残されているのは共有敷地権のみとなる。建物を再建する
 ためには、敷地共有者全員の同意がなければならないとする民法の規定によ
 り、なかなか再建が進まない事態になりやすい。そのため、敷地共有者の
 5分の4以上の多数議決により、再建を行えるようにするものであり、1995年
 1月の阪神・淡路大震災を受け、同年3月立法化された。

「管理組合」
 「建物の区分所有等に関する法律」(略称:区分所有法。1962年公布)第3条
  に定める区分所有者の団体。
 ただし、建物が全部滅失した場合は、区分所有法の適用はなくなり、同法に
 基づいて制定した管理規約も失効する。

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