2011年10月23日

マンション役員・門戸拡大

23.10.20新聞に、「マンション役員 門戸拡大」「国交省 第三者も容認へ」という見出しの記事が掲載された。
「深刻化している分譲マンションの管理組合役員のなり手不足を解消するため、国土交通省が住民や所有者以外の第三者も役員になりやすくするための基準作りを始めた」
その背景として、「ある築30年超マンションの例。古い耐震基準で建てられたため、耐震工事も必要だ。だが、管理組合総会を開いても、白紙委任状ばかり。出席者はいつもきまった10人ほど。予定外の出費をほかの所有者に納得してもらうのは難しい。あきらめにも似た気持ちになる。」という事例を紹介している。

新宿区が実施したマンション調査では「日頃困っていること」として、54%の管理組合が「役員のなり手不足」を上げている。このことからもこの問題が深刻さを増していることは間違いない。なり手がないことの具体的な影響は、役員数が定数に満たないため理事会が機能しないケース、又は同じ人が繰りかえし役員になって員数あわせをするような形となって現れる。
基準作りでは「所有者以外の第三者も役員になりやすくする」ということだから、「役員数が定数に満たないため理事会が機能しない」や「同じ人が繰りかえし役員になって」の負担解消策としては有効かもしれない。
しかし、視点を変えて問題の本質を考えた場合はどうなのだろうか?この問題の根底にあるのは、無関心組合員の増加ではないのか。「総会を開いても白紙委任状ばかり。出席者はいつもきまった10人ほど」という記述の裏にある「責任感も義務も感じない組合員の存在と、そういう人がほとんど」という状況の方が問題なのではないか。

ここを終の棲家と考える人は、維持管理をしっかりして、よりよい環境や住み心地の良さを保持したいと考える。他方、他者に無関心な人や転売・転居を考える人、不動産は利潤を求める手段と考える人たちは、管理運営に興味は薄い。入居当初は子育てを通して交流があるが、子どもが家を出ると親の世代が残り、やがて親が亡くなると部屋は賃貸に出される、というのはよくある形だが、賃貸が増加すると「マンションの管理は誰かがやること」「例えば管理会社」がやることだ程度の発想が蔓延する。

管理組合が一部の人たちの努力によって維持・運営されるとしたならば、衡平の観点から考えて、役員報酬などでその労に報いる対策が必要だが、それ以上に重要な課題は、熱心に取組んだ人たちの成果を、結果的に享受する無関心で非協力的な組合員に対する施策ではないか。
組合員としての義務を果たそうとしない無関心で非協力的な区分所有者に対して、運営に関心を持たざるを得なくなるような形、強制力のある仕組み(成果や享受する利益に見合った負担を付加するなど)を作ることが求められている。例えば外部居住者に対する協力金の徴収のように。


【参考情報】
①H23.7「標準管理規約」の一部改正。居住していない所有者も役員になることができる
②国交省によると、マンション管理士や弁護士などの第三者が管理組合の責任者を務めている組合は全国に5%ほどある。

 

2011年10月16日

ドア・サッシをリースで交換

『マンションドア・サッシ交換「リースで一斉に」業界参入』という記事が14日、新聞に掲載された。

居室の玄関ドアや外部に面した窓やサッシ類は一部を除いて共用部なので、区分所有者が勝手に工事を行なうことはできない。築年数が高じたいわゆる経年マンションでは、断熱等に課題がある場合があって、結露やすきま風といった居住性の悪さに悩まされる。4~5年ごとに行なう長期修繕計画の見直し時にその改善策を盛り込み、大規模修繕工事に必要な資金の積立を行なっていればよいのだが、ことお金の拠出に関しては組合員の合意形成が難しいらしく、国交省が5年ごとに行なう実態調査結果を見ても充分に配慮されているとは言えないのが現状である。

手持ち資金を上回る大規模工事を行なおうとする場合にどうするか?
これまでは組合員から一時金を徴収するあるいは住宅金融支援機構等の金融機関から借入する、この両方を使って資金調達するといった方法に限定されていた。
そのような中、大規模修繕工事のある部分だけが対象とはいえ、資金調達面での不安を解消できる選択枝ができるということは、建物等の維持管理面で有効な手段の一つになるものと期待される。

問題はコストパフォーマンス面だろう。
記事によれば、52世帯規模で、玄関ドア交換、窓はペアガラスで古いサッシの内側にはめ込む「カバー工法」、全体では167セットを交換し、費用は約3,250万円だったとある。
それを月々約30万円、10年のリースにし、10年後に所有権が管理組合に移る仕組みで契約するとのことだから、単純計算では、1世帯あたり3.2セットを62.5万円で施工し、借り物の金利は約1~2%となるようだ。

これが高いか安いかは、建築士等専門家の工費判断を待たなければならないが、先に述べたとおり、大規模修繕工事では緊急性の高い工事が優先され、居住性能向上等の改良工事については組合員の合意形成が得づらい状況のなかで、一つの有力な選択枝となりうることは喜ばしいことだ。
経年マンションで結露等の悩みを抱える管理組合では、長期修繕計画を見直す際に改良工事を追加するなど、住んでいる人達がいま現在を快適に生活できるよう配慮してはどうだろう。

なお、この事業はLIXIL(旧トステム)と三菱UFJリース、YKK APと東芝ファイナンス、三協立山アルミとオリックス等が事業化しているとのことなので、興味がある方は問い合わせてみるとよい。