2011年4月 1日

「計画停電」とマンションの節電対策

 3月11日午後2時46分、宮城県沖太平洋でM9.0の巨大地震が発生した。直後に大津波の襲来を受け、東北から関東にかけての広い範囲で、あの阪神淡路大震災(平成7年1月17日発生)をはるかに上回る甚大な被害をもたらした。今日現在の死者・安否不明者が約30,000人と膨大な数にのぼり「東日本大震災」と仮称されるこの地震・津波災害は、「東京電力福島第一原子力発電所事故」を誘発した。こちらの方は3週間余り経過しても原子炉を安定状態にすることができず、悪戦苦闘している。関係者、特に現場で設備修復作業等に携わっている人達のご努力には感謝しているが、この社会全体を覆っている重苦しい雰囲気が払拭されるよう、一日も早い事故処理と安全宣言を期待している。

 原発事故の影響で必要電力の確保が難しくなったとして、東京電力は計画停電(輪番停電)を始めた。現在の供給力は他電力会社からの融通分を加味しても3,800万㌔W程度のところ、電力需要がそれを上回りそうなので、電力不足による社会混乱を最小限に止めるために、特定の地域をグループ分けして必要の都度、電力需給調整を行なっている。
 電力の需要には季節変動があって、夏の冷房季と冬の暖房季がらくだのふたつこぶを描く。その他は中間期と位置づけられる低需要期で4、5月は計画停電をしなくてよさそうだが、6月以降は休止中の火力発電所の稼動等供給体制強化策を講じたとしても、電力不足は避けられない見通しとの説明だ。
 戦中・戦前の大停電や第一次オイルショック(1973年)後の電力使用制限令を知らない世代にとっては、初めて経験する困難な出来事だが、国民の叡智と社会全体の協力で、この難局を乗り越えなければならない。

 現在の計画停電については、対象地域に偏りがあり、対象とされた地域からは公平性を欠く施策だとの不満が出ている。これから暫くの間は電力不足が続くと想定されていることや、計画的生産活動に配慮すべきこと等を考えると、電力需給調整策は「計画節電」に舵がきられていくものと見られている。
 電力需要のピークを下げるには、休日を平日に振り替えて需要を均す「分散休日」「輪番操業」「時間差操業」や店舗、事務所などの「照度低下」「室温管理」等の節電施策が必要だが、比較的統制がききやすい産業界とは別に、「電力需要の4割を占める家庭用や零細事業者など小口契約者の動向が大きな課題になる」と指摘されている。
 他方、供給電力増加策としては、企業等が所有する自家発電設備稼動による電力調達や(家庭用に有効な)太陽光発電の普及促進等が検討されるものと思うが、それらの施策を総動員したとしても、電力不足を解消できる保証はないので、一層の国民的努力が求められている。

 このような社会状況の中で、マンション管理組合ができることは何かを考えてみた。三つのことが思い浮かんだ。一つは共用部で使用する電力を節約することだ。
 マンションの共用部で一番電気を使いそうな所を考えてみよう。まず頭に浮かぶのは、廊下の照明とエレベータだが、それらに次のような具体策を施しては如何だろうか。
・ 共用廊下の照明時刻変更、数量の間引きによる照度下げ
・ エレベータ(複数設置の場合)の間引き運転
・ 大規模マンションの自家発設備の稼動 
特に、マンションの共用廊下照明は、その設置台数が多いのと、遠めにも目立つところから、大型の豪華客船にも似て浪費の象徴的存在と見なされる場合がある。社会ニーズへの対応等を併せ考えると、何らかの対策が必要だ。
  二つ目は組合員に対する啓発活動。組合員に対する啓発活動は、このような節減施策を円滑に実施するためにも必要があることを理解して、念を入れなければならない。屋内非常階段など日中でも暗い所ができてしまう場合もあると思うが、そのような所には「自転車用乾電池式LEDライト」や「乾電池式ランタン」あるいは要所に「懐中電灯」を置いて、危険防止と安全確保に努めるなどの配慮が必要になる。建物の構造や建築設備はマンションごとに区々なので、自らの建物等を再点検して、自分達にあった対策を行なうことが必要だ。そして、一人ひとりの組合員が、協力して節水すれば、給水・排水系統のモーター電力を節約できるのだから、そのような事も含めて啓発したらよい。
  三つ目は(省エネ)LED照明器具への交換工事や太陽光発電設備導入といった少エネ策の推進と自前電力調達だ。以前このブログに「マンション屋上へ太陽光発電を設置」記事を書いたが、使っていない所を有効活用して社会に貢献できるほか、新たに「原子力から自然エネルギー」という社会的要請が加わったことを考慮すると、「計画節電」時の有力対応施策として、真剣に考えてみる必要がある。また、LED照明器具については、初期投資額が蛍光灯に比べると高いという難点があるが、ランニングコストは安いこと及び「節電」という社会ニーズに応えるために、「みんなが使っているみんなの照明」を改修して、オピニオンリーダー的役割を果たしてはどうか。

  終わりに、朝日新聞天声人語を紹介したい。「途切れた日常が、遠慮がちに戻り始めた。月が替わり年度が改まるこの機に、せめて気持ちだけでも切り替えたい。」


【用語解説等】
今夏の供給能力:4,500万㌔W(午後1~3時頃のピーク需要は節電効果を織り込んで5,500万㌔W)〈昨年のピークは6千万㌔W〉
1974の電力制限令:電気事業法27条に基づく強制措置。火力発電所の使用燃料を節約する目的(総量規制)で発動した。
この夏の使用制限:需要が供給を上回った瞬間に起きる大規模停電を避けることが目的で、ピーク時の「使用最大電力」を制限する。
交代休業:工場ごとに期間を区切って操業を止める
企業節電:25%減目標

 

2010年6月14日

マンション標準管理委託契約書が改訂された

先に書いたとおり、昨年5月、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の「施行規則」が改正・公布され、本年(平成22年)5月1日から施行された。

施行規則の主な改正事項のうち、管理委託契約に関係する項目は、次のとおりだが、
① 管理組合財産の分別管理の方法(§87条2項関係)
② 保証契約の締結(§87条3項関係)
③ 印鑑等の管理の禁止(§87条4項関係)
④ 会計の収支状況に関する書面の交付等(§87条5項関係)

法律改正があった場合、管理組合の管理者等が気をつけなければいけないことは、管理委託契約書という実務面での大切な書類の中身を変更する必要がある、ということだ。
国土交通省は、「マンション標準管理委託契約書」を公表しているが、今般、法律改正に伴う事項のほか、実務上当事者間でもめそうな事項(例:滞納者に対する督促関係、長期修繕計画の作成関係)についての見解を明らかにするような形で「マンション標準管理委託契約書」を改訂した。
そして改訂された「マンション標準管理委託契約書」は、法の施行日である平成22年5月1日以降、新たに締結する又は更新する「管理委託契約書」から適用されるので、更新期をむかえる管理組合は内容を十分検討して、適法・適正な管理委託契約書を取り交わす必要がある。

※詳しくは上部グローバルナビゲーション「主宰者の実務研究」からどうぞ。

2010年6月10日

マンション管理適正化法「施行規則」が改正され5月1日施行された

昨年改正・公布された「マンション管理適正化法・施行規則」が5月1日施行された。
主な改正事項は次のとおりだが、肝心なことは、この改正規則が5月1日以降に契約する又は更新する「管理委託契約書」に適用されることにある。
● 施行規則の主な改正事項
1.管理組合財産の分別管理の方法(§87条2項関係)
2.保証契約の締結(§87条3項関係)
3.印鑑等の管理の禁止(§87条4項関係)
4.会計の収支状況に関する書面の交付等(§87条5項関係)
5.業者標識の表記事項     等

今回の改正は、平成13年に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」により、マンション管理の適正化措置が講じられたが、管理業者が管理組合から委託を受けて行う出納業務において、横領事件等が依然として発生していることから、管理組合財産の保全策ということに軸足を置いた改正になっている。
財産の分別管理の方法は、これまでの「原則方式」「支払一任代行方式」「収納代行方式」という呼称が廃されたので、一見すると大きな変更があったように見えるが、「収納口座」「保管口座」という名称は実務上これまでも使う場合があったし、内容を精査するとこれまでと大きな違いはないことがわかる。むしろ「収納・保管口座」という名称を含めて、わかりやすくなったのではないだろうか。
今回改正の目玉は、毎月の会計収支報告にある。会計収支報告については、これまで決算期末の1回だけだったものが、毎月報告が義務付けられた。実務上、月次決算を毎月報告している管理会社は、これまでも大手・中堅を中心に見かけることはあったが、今後は全ての管理会社が義務付けられるので、この効果が期待される。
もっとも、毎月報告されたとしても、管理組合側にその中身を吟味できるスキルがない場合は、金銭事故防止あるいは合理的運営といった目的達成はできないので、管理組合の人材育成も肝要だ。人材育成が間にあわない等の場合は、外部顧問や抜打ち監査を依頼するなどの対応を検討するのも一方だ。

※ 詳しくは上部グローバルナビゲーション「主宰者の実務研究」からどうぞ。

2010年4月 2日

マンションの建て替え

22.3.29朝刊に「多摩ニュータウンで初めて全面建替えを決議した」という記事がのった。建替えそのものは珍しいことではないが、23棟640戸とその規模が大きいこと、同タウン内の他団地に及ぼす影響が考えられること、そして分譲共同住宅の建替えである点にニュース性がある、ということのようだ。

足立区内でも、1960年代から70年代初頭に竣工した中高層住宅のうち、旧日本住宅公団(現UR都市再生機構)が開発した西新井三丁目住宅は建替えられているし、最近ではやはり同時代の花畑団地について、取り壊しの上建替えることを決めるなど、その事例はある。が、それらはUR等公営企業の賃貸物件のことであって、分譲マンションの事例ではない。

今回の多摩ニュータウン「諏訪2丁目団地」では、住民の平均年齢が60歳を超す一方、エレベータがないことなどから、約20年の歳月をかけて建替え検討してきたという。そして建替え決議が可決した最大の要因は、建蔽率・容積率のゆとり部分を戸数増にあてて、その販売で得た資金により現在の住民には今の部屋の面積分について新たな負担が生じないように計画したことだと、容易に想像がつく。

築25年を経過しているマンションの区分所有者、管理組合役員は、自分たちの財産の行方に関することなのだから、この記事から決議が成立した最大の要因は何か?ということを学ぶ必要がある。敷地・建物と戸数の関係(建ぺい率・容積率)や建替え時点での組合員構成などを考慮して、「建替えで財産を維持」するのかそれとも「適宜適切なメンテナンスで長持ちさせることを志向する」のか、二者択一で方針決定することが求められる。

現在住む中野区には、有名なブロードウェイをはじめ1960年代のマンションが多数ある。足立区内でも築25年以上の経年マンションは全体の約16%を占める。これらのマンションは、いわゆる旧耐震基準で建設されているので、大きな災害にあう危険性が懸念される。「建替え」「永年使用」についての基本方針が決まっていない管理組合が多く存在すると想定しているが、事実としたならばその原因は、一般組合員の参画意識にこそ問題があるということを指摘したい。定期総会に出席して、将来のあるべき姿を話し合うべきだ。

2010年2月23日

アンケートで重要課題に民意を反映させる

長妻厚生労働大臣は、後期高齢者医療制度や年金問題など重要な政策課題に世論調査を活用する検討に入った。という記事が15日朝刊に掲載された。
世論調査は、まず一般公募モニター100人から直接意見を聞く。次に、有識者約1,000人を対象にしたアンケートで、専門的な問題点を洗い出す。さらに、国民にわかりやすい形でA案とB案を示し、どちらがよいか大規模なアンケートで選んでもらう。以上3段階方式を考えているらしい。
こうした方式を導入するのは、自民党・公明党政権下に始まった後期高齢者医療制度が、周知不足により高齢者から強い反発を受けたことが背景にある、と解説する。

ところで、このようなアンケート調査による民意把握方法は、管理組合運営にあたっても重要で役に立つ主要な方法だ。
例えば、外壁塗装を主とする大規模修繕工事を施工する際には、外部から見ることができない専用使用部分の現状調査や外壁の色選定についての組合員意向調査に使われている。また、ペット飼育可否についての管理規約改正問題などでは、賛成反対の二者択一議論のほか、条件付で認める方法を提案して、嫌ペットの人たちの理解を求めるなど、少しの工夫を加えることにより、多様な考え方、生き方を求める人たちの合意形成に威力を発揮する。

時として役員に対する不平・不満を耳にすることがあるが、そんな時役員側には「ボランティアで一生懸命やっているのに何だ」と、逆不満が生じる。原因は両者の意思疎通の悪さにあるのだが、管理組合運営をどのように行っているかを伝えることは案外と難しい。良好なコミュニティを形成しようと考えたら、役員は民意の把握に意を用いなければならない。

みんなのために何かを行う場合は、その課題に対するみんなの考えを聞く。その一手段として、アンケートを利用する。組合員の考えを知り、その気持ちに応えることが民主的な管理組合運営といえるのだから、念には念を入れて調査し、課題と解決策の周知をかねた手法として活用するとよい。

2010年1月30日

管理費に「協力金」を上乗せ

不在所有者には、管理費のほか「協力金」の上乗せが許される。

今日の朝日新聞一面トップを飾ったのは、珍しいことに分譲マンション関連記事だった。「分譲マンション管理費 住まぬ人に増額適法 最高裁判決」と4段抜き大文字が踊る。そして、『マンションの管理組合費の額をめぐり、部屋をもちながら自らは住んでいない「不在所有者」には「居住所有者」より額を上乗せしていいかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁は「上乗せは許される」との判断を示した。管理組合の役員を引き受けない不在所有者と居住所有者との不公平感を和らげる手段として認めた』との解説記事が続く。

最高裁は「居住所有者だけが役員となってマンションの保守管理に努め、不在所有者はその利益のみを享受している」と指摘し、管理組合の業務や費用は本来、組合員が平等に負担すべきだから、金銭的負担で不公平の是正をはかることは合理的だと認めた、とある。

実態調査など各種調査によれば、一定の年数を経たマンションでは、組合員の高齢化と外部居住者数(賃貸化)が、建物の築年数に比例する形で増加することが分かっている。そのような状況になると、役員のなり手がない、気持ちはあっても体が動かない等の理由から、管理組合の執行体制が整わない、あるいは一応は顔ぶれがそろっているが何もできない運営機能不全に陥る。その結果、組合運営のすべてを管理会社任せにする、いわゆる放任状態になる。特に経年マンションでその傾向が顕著なので、そのような場合のひとつの処方箋としては活用できそうだ。同様に、役員体制の不備を補う趣旨で「第三者管理者」(管理者委託制度:20.7月記)という仕組みつくりが国交省で検討されている。

以前係わっていたマンションで、非居住役員が遠隔地から理事会や総会に出席して、自らの財産を守ると同時に、組合員としての義務を果たしている姿に接したことがある。その人は、「上京する時間と費用が負担なので、代わってくれる人がいたらありがたいが、これも一つの義務ですから」と言って、淡々と業務をこなしていた。一般に、不動産活用で収入を得ようとする人は、自分の利益を優先する者が多い中で、珍しい光景に見えた。このような人は少ないのかもしれないが、そういう人も要るということは知っておいたほうがよい。

また、管理組合運営にあたっては、「自らの財産は自ら守る」ということが基本概念だから、業務負荷の不公平感だけに着目して、拙速に協力金を計上しようと考えるべきではない。そのような態度では、何事も金銭的負担で解決を図るという風潮にしてしまうことになり、良好なコミュニティ形成は難しい。

協力金制度の導入にあたっては、非居住者を含めて協力的で前向きな人がいない、役員業務負荷に対しては報酬という形で公平感を担保している、という二つの用件が重なったときに導入を検討したらよい。そして、上乗せ額の水準は管理費額の15%程度を目安に設定することがポイントになりそうだ。

2009年2月28日

管理組合役員選挙

平成21年2月28日付朝刊に「北京弁護士会で初選挙 民主化へ大きな一歩」という特派員記事が掲載された。共産党の一党支配下で、当局の影響を強く受ける職業団体で公開選挙が導入されることは異例で、当局が民主化にお墨付きを与えたと評価されているという。

最近の相談事例に①理事長を16年続けている人の独善的管理組合運営②専門家の意見を拒否するお友達理事会がある。どちらも管理組合運営の要である役員についての資質、能力並びに選出方法が問われている問題だ。

これらの管理組合は役員を民主的な方法で選んでいるのだろうか?前者は組合員の多くが高齢化し、特定の人を頼りにし過ぎた結果であり、後者は輪番制にこだわり過ぎる素人考えの失敗例なのだが、どちらもオープンな形での役員選出は行っていない。

ところで、役員選挙という言葉を聞かないが何故か?法は役員選出方法を規定していないから、規約又は総会の決議でこのようにしたい、と決めればよいのだが、標準管理規約にも書かれていない。民主的な管理組合運営をしようと考えたなら、その執行機関である理事会役員は、自薦他薦などにより民主的に選ぶ事が好ましい事は間違いない。では何故どこにも書かれていないかというと、当然の事だから書くまでもないということなのだ。

事例の両者に共通するのは、業務委託先である管理会社の対応に問題がある点だ。標準管理委託契約書によれば事務管理業務の主要な事項として理事会支援業務がある。彼らには理事会に出席して、専門業者として当然持っていなければならない知識、能力を駆使して、個別問題に適切な助言を行う契約義務がある。高品質な助言が、適時適切に行われたならば、今回の事案のように、特定の業者名を規約類に明記したり、物事の道理を説明する専門家の言を無視するようなことは行われなかったに違いない。

管理組合は大きな金銭を扱う。小さなところでも千万単位、大きなところは億の単位だ。学校の父母会や親睦を主にした町内会とは訳が違う。管理会社との委託契約は、仕様と履行の比較や理事会支援内容でコストと品質を見極めなければならない。大規模修繕工事や規約改正には専門的知識やそれを補うノウハウが必要だから、能力を有する人が参加し、コンプライアンスに留意した会社経営の感覚で、道理にしたがった運営を行うことが求められる。したがって、理事全員が素人の場合は管理会社の高品質な支援がない限り、一般組合員の期待に応えることは難しいと考えたほうがよい。だから標準管理規約でも専門家を活用できると規定している。

大切な役員選出にあたっては、①自薦他薦の立候補②立候補者不足時の対策③役員不適格者の定義④多選の弊害排除規定等、民主的に選出する方法を定めて、能力、識見に優れた人ややる気のある人を積極的に活用できるようにすべきである。

※管理組合役員選出方法についてはグローバルナビゲーション『自主管理』でご覧ください。

2008年8月27日

管理者(理事長)と個人情報の関係

20.8.6付朝日新聞に「マンション2000件調査」と題する記事が載った。湾岸地域を中心にマンション開発が進む江東区(集合住宅居住率82%)は、区内のマンション約2000件を対象にした実態調査(修繕履歴、建替え予定、管理方法、防犯設備等)を9月から行う。この調査結果とその他の調査結果は、住宅に関する施策の基本になる「住宅マスタープラン」を改定する際の基礎資料に用いられる、という内容だ。

ところで、私が住む足立区(集合住宅居住率65%)では現在、「築25年以上分譲マンション管理実態調査」が実施されている。この調査事業は、「協働」施策の一つとして企画され、私が所属する「足立区マンション管理士会」が実務面を担っている。江東区と違うのは、区内マンションの16%を占める経年マンション(特に旧耐震基準マンション)に的を絞っていることだ。耐震基準を一つの切り口にしながら、組合員の高齢化問題など、経年ゆえの課題の有無を調査し、今後の住宅施策に反映させていくことを目論んでいる。

この調査業務に従事して、気づいた事が何点かある。

①管理者(理事長)と個人情報の関係

調査員は、足立区が発行した名刺よりも少し大きめの身分証明書を、首から下げて訪問活動を行う。初めてお会いする管理員さんに、用件の説明と「足立区から理事長宛に調査票が届いているので、その回収に伺いました」と挨拶し、「理事長宅を教えてください」とお願いする。するとほとんどの場合は「○○○室の△△さんです」と教示されるが、「個人情報だから教えられない」という返答を受ける場合が時々ある。

区分所有法に定める「管理者」は、組合管理部分の保存・管理・変更等内部的事務はもちろんのこと、外部との紛争時(訴訟等)には当事者への就任権を有するなど、管理組合の代表者としての地位、権限を有している。このことを「公」と「私」に区分したならば明らかに「公」に属する身分と考えるべきだ。

このあたりの認識が不足あるいは誤解している関係者は、管理組合運営上の「管理者」(理事長)と個人情報保護法の関係を再勉強してほしい。

マンションの「顔」を考える

業務とはいえ、知らない所を始めて訪問するときは緊張する。そんな時、受付の人から笑顔で迎えられたらほっとするものだ。しかし、多くの場合「対応が面倒だ!」といった顔をされる。しかも相手は椅子に座ったままだ。窓口の構造にも建築上の課題はある。昔の医院に多く見られた小さなのぞき窓風の作りでは、座っているほうが話しやすそうだ。

座ったままの対応が普通に行われている管理組合は、部外者が受ける第一印象の良否が資産価値評価にも影響を与える、ということを認識する必要がある。

受付等の業務は、管理委託契約上管理員の主要な業務なのだから、接遇ということを再教育する等してイメージアップを図るべきだ。