総会決議で可否同数の場合
3月31日に開催された参議院本会議で、現行子ども手当ての「つなぎ法案」が可否同数になり、議長が決裁して「可決」するという出来事があった。本会議で、可否同数のため議長が決裁するのは、現憲法下では1975年7月にあって以来、36年ぶり2回目のことだという。このことは又、マンション管理運営(総会)についての参考にもなることなので、憲法や地方自治法の条文並びに標準管理規約を復習したい。
マンション管理組合の総会でも、このようなことが起るのだろうか?
現行(平成16年版)マンション標準管理規約によれば、管理組合の最高意思決定機関である総会の議事は、「過半数」で決すると規定されている。従って、この標準管理規約に倣って管理規約を制定している管理組合では、このような議長決裁は起らないことになる。
実は、マンション標準管理規約のこの規定は、平成16年に改正された箇所だ。旧(平成9年版)の標準管理規約はどのように規定していたかを調べると、「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決し、可否同数の場合には、議長の決するところによる」とされ、今回の出来事の根源である憲法の国会編や地方自治法の同様規定と同じ表現が明記されていた。
管理組合運営を継続して適正に行なっている管理組合を除いて、他人任せの組合員が多い管理組合や、管理を放棄または放任している管理組合では、管理規約の見直しが行なわれていない可能性があるので、このようなことが起り得ると言えそうだ。
そのことが法律違反というわけではないので、直ちに問題になるというものでもないが、みんなで決めた管理規約が古くて時代に合っていない、ということは問題だろう。
旧規定を使用している管理組合が注意しなければならないのは、議長としては、最初に区分所有者として議決権を行使するか、もしくは最初は議決権を行使することなく可否同数の場合に始めて議決権を行使する、のどちらかを選択すべきという点だ。議長になった区分所有者が、議決権を結果的に2回行使することになる方法では問題があるので、地方自治法を参考にしたほうが理に適っている。
現行のマンション標準管理規約に規定されている過半数決議のほうが、すっきりとして分かりやすい。マンションの資産価値は、共用部を中心とした管理で決まる側面が強いことを考えると、管理組合の最高自治規範である管理規約は、法律改正があった場合や、管理に関する考え方が進歩したときには、それらに基づいた改正を適宜行なって、その時代のニーズに合った形にしておきたいものだ。
【用語解説等】
●標準管理規約の変遷
昭和57年(1982)建設省が「中高層共同住宅標準管理規約」を発表
昭和58年(1983)一部改正
平成 9年(1997)一部改正
平成16年(2004)大改正。名称も「マンション標準管理規約」に変更
●標準管理規約第47条(総会の会議及び議事)
総会の会議は、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。
●憲法第56条 両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
●地方自治法第113条
普通地方公共団体の議会は、議員定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。
● 同 第116条
この法律に特別の定めがある場合を除く外、普通地方公共団体の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数の時は、議長の決するところによる。
2 前項の場合においては、議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。
