2010年5月 7日

マンションに防災倉庫 促進(都、住居面積に含めぬ新制度)

4月26日朝刊に首題の囲み記事が掲載された。
「地震などの大災害に備え、防災備蓄倉庫を新築のマンションに備えた場合、倉庫分の面積を、建築できる延べ面積に上乗せできる制度の導入を決め、今秋にも実施する。都内で急増する高層マンションの中高層階への倉庫設置を促し、エレベータが止まっても住民が階段を上り下りせずに、非常食などを受け取りやすくするねらいがある」
「今回導入する制度は、都が建築許可を出す大規模物件が対象で、敷地に応じて設定される延べ面積の上限に、倉庫分の面積を上乗せして建てられるようにする」という内容だ。
防災倉庫は災害時に住民が利用する非常食や飲料水、毛布、簡易トイレなどを保管するスペース。マンションの延べ面積は敷地の広さに応じて決まるが、高層マンションに限らず防災倉庫のない物件が多いのが現実。『倉庫を設けるには住居部分の面積を削る必要があるため、分譲業者は販売戸数が減ることを嫌い、自発的につくることが少ないのではないか』との行政側のコメントも掲載した。

この制度には大いに期待したい。
以前、30階建ての複合用途型(住居300+店舗等12)の管理組合運営に係わったことがある。最上階は地上から100mなので眺望が良い。しかし、いざという時には大きな問題が懸念された。
大規模災害時に懸念されることは、建物損壊を別にするとライフラインの寸断だろう。電気、ガス、水道といった生活に必須な部分が停止してしまったらどうなるか。眺望のよさを楽しんでいた「高さ」が、障害事項にはや代わりする。30階は階段数では約540段。あの金比羅宮785段、伊香保温泉360段にもそん色ない階段の上り下りは、若い人でも大変だ。物を持って上る姿を想像してみよう。その対策として、非常用自家発電装置が設置されているので、燃料がある間はエレベータも動くし水の供給(受水槽分)も心配ない。しかし、燃料供給体制については未検討だから、どの程度有効かはわからない。

現状、高層マンションに限らず大部分のマンションが防災倉庫を備えていない。それどころか、コミュニティ形成に必要な設備(集会室)や大切な管理組合資料を保存する場所がないといった問題に直面しているのが実態だ。分譲マンションの共用部分は必要最小限に止められている。広くすると1戸あたりの分譲価格が上昇し、売りづらくなるからだ。専有部分に強い関心がある組合員予備軍も、廉価なほうが魅力的だ。共用部のことや管理組合運営に関心を示さない予備軍の姿勢にこそ問題があるのだが、だからといって責めることはできない。問題を含みつつも、この関係は今後も変わらないであろうことを考えると、建築基準法の改正(共用廊下等の部分に係る容積率の不算入措置)が効果をあげたように、この制度導入が契機となって、共用部がより使いやすい形に誘導されることは望ましいことだ。既存マンションが羨望の目で見るような運用をおこなってほしい。

2009年1月17日

地域の人々をつなぐ「隣人祭り」

「隣人祭り」とは、都会の集合住宅に暮らす人たちが年に一度、顔を合わせて食事をしながらおしゃべりをする催しで、10年前にフランスで始まった新しいご近所づきあい。いまや欧州を中心に29カ国、800万人が参加し、日本でも各地で開催されていると紹介されている。
隣人祭りのきっかけは99年、パリの区議アタナーズ・ペリファンさんが失業者や身寄りのない人々への支援活動中に起きた事件。(訪れたアパートで、孤独死し1ヶ月以上放置されたお年寄りの遺体を発見した)『周囲との交流があれば…』ペリファンさんは「もう少し触れ合いがあれば悲劇は起こらなかったのではないか」と考え、隣人祭りを呼びかけることにした。(以上新聞記事から)
安心・安全を考えるとき「防犯」は重要なキーワードだが、居住者が日常の挨拶を交し合うマンションは、犯罪に遭いにくいということを知っているだろうか。また、一度でも言葉を交わしていたならば、「感情公害」とでも呼ぶべき近隣(生活)トラブルが減少する、ということが関係者の間ではよく知られている。
マンション居住者の中には、他者とかかわりを持ちたくない、管理会社等にすべて任せておけばよい、と考える人もいる。しかしながら、自分が住んでいるところを少しでも住みやすいものにしたいと考えたら、単独主義や個人主義は通用しない。最近は個人情報保護法の勝手解釈が横行し、なんでも隠したがる傾向が顕著になってきた。管理組合に提出する居住者名簿がきちんと提出されないと言う話は、まさにこの類ではないだろうか。
管理組合には、「隣人祭り」の趣旨を理解して、周囲との交流を増やすきっかけづくりに積極的に取り組むことを望みたい。日本の伝統行事である盆踊り、納涼祭、餅つき大会や新年会、若い人が喜びそうな焼肉パーティなど人と人の出会いを演出する方法は何通りもある。趣旨がちょっと違うかもしれないが、消防訓練や防災訓練に焼肉パーティを付加してみるのも面白い。町内会が行う祭礼(神輿)や盆踊りに参加するのは地域コミュニティ形成に大いに役立つ。組合員とその家族が積極的に参加できる雰囲気作りができたなら、マンションライフを盛り上げる一助になることは間違いない。そして最大の効果は「住んでいる人を知れば、自分が一番安心できる」ことを、居住者が理解することだ。
最後に、これを読まれたあなたにお聞きします。あなたはメールボックスと玄関の両方に表札を出していますか?

 ■参考情報…「隣人祭り」 http:// www.rinjinmatsuri.jp

2008年11月23日

マンションの使用暴力団には制限

11月22日付朝刊に「共同住宅の使用、暴力団には制限。豊島区が条例改正案」という記事が掲載された。「マンションの管理者に対し、暴力団員の居住・使用をさせないよう求める生活安全条例の改正案を、定例議会に提出する。マンションなどの売却・賃貸契約について、あとで暴力団関係者と判明した場合や犯罪に用いられた場合は、催告なしに契約を解除できる。可決されればH21年1月から施行される」という内容で、全国初の規定になるらしい。

「自分達の街、自分の家、自分が住むマンションは自分達(自助・互助)で守る」のが自治に対する基本的な考え方だ。コミュニティに「悪は許さない」という基本姿勢を定着させ、安全、安心、そして快適に暮らせる環境を創出しなければならない。しかしこのような自覚も、多くの人たちから理解され支持されなければ、なんの効果も生じない。だから法律(条例)の力も借りて自分達の街や棲家を守る必要があるのだ。豊島区以外の区に対しては、安全・安心な暮らしを担保する観点から、法環境の整備・充実とともに同様の規定を定めることを期待したい。

またマンションの場合は管理規約が自治規範になる。今回のように行政側が条例を整備したら、管理組合は早急に管理規約を改正する必要がある。そのことにより、こうした取組や自治に対する基本的な考え方を、組合員に周知する機会にすることにもつながる。特に全戸ファミリータイプのマンションの場合は、平穏な暮らしを守るため条例の考えを、管理規約にきちんと規定することをお勧めしたい。

◆管理規約条文例は上部グローバルナビゲーション自主管理支援をご覧ください。

関連情報(21.1.10)佐賀県が同様の条例案を2月議会に提出予定。県レベルでの条例制定は全国初。

 

2008年11月10日

マンションにAEDを設置

11月3日付朝刊に「マンションにAED 千代田区が無償設置」という記事が掲載された。「千代田区は、区民の約8割がマンションに住んでいる。地域の安心安全のためにと、区民の要望を受けて始めた。管理規約が整備されている、町会に加入している、居住者の3人以上が「普通救命講習」を受けている、など6条件を満たした管理組合が対象だ。区がリースでAEDを用意し、管理組合に3年間、無料で貸し出す。期間は更新できる。」という内容だ。

この記事を読んで、住民の「安心・安全」ニーズにマッチした良い施策だと感じるとともに、わが足立区の実情を考えると、同じことは期待できないかもしれないと思わざるをえなかった。

私のマンションではこれからだが、所属町会ではAEDの購入が話題になっている。私が住む地域は高齢者が多いこともあって、AEDに対する関心は高い。記事にある「普通救命講習」を受けている人も何人かいる。問題は購入費用だ。オープン価格といわれているが1台当り約40万円は少々お高い。弱小町会の年間予算では購入が難しい金額だ。レンタルで月2万円程度らしいが、この予算が捻出できない。だから購入は諦めて、必要な場合は公共施設に設置されているものを使うことを考えている。ちなみに、町内には住区センター、区立保育園、私鉄の二駅、消防出張所がある。  【防災士記】

【参考】

AED(自動体外式徐細動器)……けいれんして血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)の心臓に対し、電気ショックを与えて、正常なリズムに戻すための医療機器。

AED設置の必要性……心臓停止後約3分で死亡率は50%に達するといわれている。一方119番通報から救急車が現場に到着するまでには平均6分以上かかるとされている。突然心停止が起きた場合には、近くにいる人が一刻も早く心肺蘇生やAEDによる措置を施さないと、救急車が到着する前に命が失われたり、重い障害が残ったりする危険性がきわめて高くなる。

足立区:人口約653,000人・世帯数291,000、昼間人口はマイナス14%、マンション世帯率約18%

千代田区:人口48,000人・世帯数24,800、昼間人口は約20倍に増加する。

2008年11月 3日

防犯(不審者)について考える

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地域活動で防犯部長の仕事を担当している。先月は「全国地域安全運動」の一環として、町内住民と一緒に夜間パトロールを実施した。「自分達の街、自分の家、自分達のマンションは自分達(自助・共助)で守る。その上で警察行政等(公助)の力を借りる」のが自治に対する基本的な考え方だ。コミュニティは安全、安心、快適でなければならない。

このところの朝日新聞「探る」欄では、振り込め詐欺に関する記事を連載している。10月30日には「送金、エクスパックを指定」と題する記事を紹介しているが、注目すべきはその内容だ。「融資保証詐欺グループが摘発されたのは、エクスパックの専用封筒がごみ置場に大量(600通)に捨ててあり、不審に思ったマンションの管理人が警察に通報したことがきっかけだった」というのだ。

現場となったマンションの評価はどうだろう。〇〇詐欺の△△が住んでいたマンションだ、と当分云われることになるかもしれない。見てみぬふりをしていたほうが良かったのだろうか?個人情報との関係は?

この種の問題は、仮に見てみぬふりをしたとしても、悪人はいづれ必ず捕まる。そのときには評判になるだろうし、今よりずっと大きな事件になっているかもしれない。大事なことは風評を気にする事ではなく、コミュニティに「悪は許さない」という基本姿勢を定着させることだ。管理業務系の仕事では、区分所有者も管理会社も面倒な事には係わりたくないと考えるのが人情だ。その点この管理員の取った行動は評価されて良い。もしかしたら、確かな倫理観に基づいたコミュニティ形成を日ごろから考えていたのかもしれない。

最近は不法就労、偽装結婚偽装認知など外国人とそれを手引きする人たちによる犯罪が多発していると聞く。稼ぐ手段として風俗や深夜マッサージなどいかがわしい業に従事する者も多いらしい。そんな人たちが自分達のマンションに居ついてしまったら…。

悪い事をする人たちは「人目につく」「声を掛けられる」「環境が明るい」ことを嫌う。だから目立たないように静かにしている。しかし、静かだからそっとしておけばよいと考えたら間違いだ。先に記したように将来大きな事件になるかもしれないし、予期せぬ事故が起こるかもしれない。そのときには悪評が立つなど大きな迷惑行為になる。

管理者がやるべきことは「予防対策」だ。初めに管理規約を確認し、不備がある場合は改正を検討する。そして、コミュニティに「悪は許さない」という姿勢をアピールし、挨拶運動などで「声掛け」を励行する。「不審者」がいると思ったら警察に相談する。管理規約に基づく各種届出をきちんと提出させることも大切だ。届出と同一人物かどうかは在留資格認定証明書や防犯カメラの映像で確認する。これらの対応をすることが管理をきちんと行うということだ。管理がきちんと行われていたならば悪が入り込むすき間はない。   【 防犯設備士、警視庁振込め詐欺被害防止アドバイザー記】

※偽装結婚等の事件記事:20.10.27朝刊「中国人両親 出産直前 日本人と偽装結婚」、20.11.6朝刊「『子に日本国籍』ビジネス 中国人の女 ブローカーに成功料」

◆管理規約の条文例は上部グローバルナビゲーション自主管理支援をご覧ください。

2008年6月18日

耐震診断調査についての間違い話

岩手県内陸部を震源とする強い地震(岩手・宮城内陸地震)により大規模な災害が発生した。中国四川省で大地震があったばかりなので、またかと思うと同時にその規模の大きさに驚いた。

自然災害はいつ、どこで発生するかわからないのだから、今が大丈夫だからといって将来もそうだとは言えないし、(関東地方)大地震80年周期説もあるくらいだから、発生危険度は高まっていると考えて、それに対する備えをすることこそ肝要だ。

マンションの場合は通常、杭が地中深く支持層まで打ち込まれ、基礎や柱、壁、梁といった主要構造部が鉄筋、鉄骨とコンクリートで造られているので、比較的安心感の持てる建造物といえるかもしれない。もっとも、耐震偽装問題や1981年以前(便宜上旧耐震基準という)に建築確認を受けた建物は多数あるので、絶対安心といえる状態にないことは周知のことだ。

ところで、生活者にとって最も大切な「安全・安心」はどのようにしたら得られるのだろうか?

一例として、専門家による建物の耐震強度調査がお勧めだ。科学的な調査により自分達の棲家の強度を調べ、その結果から安心感を得る。あるいは、強度不足が指摘された場合は、速やかに補強工事(いろいろな工法が工夫されている)を実施することにより安心感が手にできる。

最近、耐震調査を専門にしている一級建築事務所の知人から、気になる話を聞いた。「マンションは耐震調査をやりたがらない」のだそうだ。何故か…?その理由は「結果が悪かった場合、資産価値が下がり売買に支障がある」とのこと。信じられない…!

区分所有者の中には売却を検討している人、終の棲家と考えている人などいろいろな人がいることは承知しているが、目先の利益や短期的な視点で物事を考えて「安全・安心」を放擲しようとする人は、「隠れ迷惑行為者」とでも呼ぶべき存在だ。正しい知識を得る努力と他者のことを考える態度こそ良識ある人間のあるべき姿だと思うので、自己中心的な方は猛省をお願いしたい。

知っている人は多いと思うが、足立区では「耐震診断費用」「耐震改修工事費用」の助成を行っている。年度ごとの予算措置らしいのでいつまで続くか分からないが、「安全・安心」のニーズがなくならない限り継続しそうな気がする。

マンション管理組合の運営は、正しい知識と適切、適正、公平が肝要だが、「安全・安心」は生活者にとっての必須事項だ。管理者はその辺りのことを理解し、無知が震源の風評に惑わされてはいけない。そして、旧耐震基準マンションの管理組合は、行政の助成制度活用も念頭において、耐震診断を急ぎ実施することが求められている。

※耐震診断助成問合先:足立区(開発指導課 耐震相談係)電話(3880)5317