2011年1月14日

「ゆっくり揺れ」対策 超高層に義務付け

『「ゆっくり揺れ」対策 超高層に義務付けへ』という見出しの記事が1月11日、朝日一面トップに掲載された。
 「震源から遠く離れた高い建物を、大きく揺らす危険がある長周期地震に対応するため、国土交通省は新たに建てる高さ60m以上の超高層ビルやマンションに、長周期の揺れも考慮した耐震強度を義務付ける方針を固めた」という内容だ。
 これまでの(耐震強度の)構造計算は主に、阪神大震災のような短い周期の地震を想定していたが、超高層建物が急速に増加したこと、長周期地震では超高層建物の高い階ほど揺れが大きくなること、上層階では家具が数メートル動き、転倒する家具が凶器に変わる危険性があること等の指摘を受けて、長周期地震でどれだけ揺れるかを構造計算でシュミレーションすることを義務化することにした模様だ。新築の超高層マンションでは、家具が固定しやすくなるよう、壁や天井を裏から補強する下地材を設けるなど、転倒防止策を講じることも義務付けるらしい。
 すでに完成した超高層ビルやマンションでも、長周期地震に耐えられるかどうかの点検を任意で求める方針とのことで、その結果大きな揺れが予想される建物は、はりや柱に揺れを吸収する制震装置を設けて補強するなど、追加の対策工事を促すとのこと。

 以前管理に携わった30階建てマンションには、揺れを吸収する制震装置の設置はなかった。素人考えだが「高層建物は、竹のようなしなやかさによって地震エネルギー等を分散・受け止めているのだから、揺れることは当たり前」くらいに思っていたので、「免震構造」や「制震構造」といっても、そのメンテナンス費用の多寡のほうに興味があるのみで、構造上の不自然さは感じなかった。幸い大きな長周期地震の発生はなかったので、被害に遭うこともなかったのだが、ちょっとした地震でも、屋上に設置された受水槽等から水がすぐに溢れる、ELV機械室に設置された地震計の振れが大きいなどから、「地面と上では揺れ具合が違う」という実感はもっていた。
 長周期地震による被害を防止する観点から考えて、この改正は必要なことだと思うのだが、他方、超高層マンションの管理費は一般のマンションに比べて十分割高なことを想起すると、管理費等の更なるコストアップにつながるのでは、と気になる。景気が悪い中、「安全・安心」にかける費用負担は、どの程度が妥当なのか考えてみる必要がある。

【用語解説】
長周期地震   1回に揺れる周期が長いほど震源から遠くまで揺れが伝わる。周期が1秒以下の短い揺れでは木造住宅が被害を受けやすいが、周期が長くなると超高層マンションが揺れやすくなる。1985年のメキシコ地震では震源から400キロ離れたメキシコ市でも高層ビルが倒壊した。

2010年11月30日

耐震改修、国が直接助成 都、耐震診断義務化

耐震助成に関することについて、東京都と国が同時にニュース提供しているので、①、②で区別した。②については、9月2日に公開したブログ記事に関連した内容になっている。

①「環7・環8など主要道沿道 ビル耐震診断義務化」という見出しの記事が11月30日、掲載された。
「大地震の際、救急車などの通る「緊急輸送道路」が倒れた建物にふさがれないよう、東京都は沿道の古い建物の所有者に耐震診断を義務付ける方針を固めた。来年度中の条例化をめざす。費用は自己負担ゼロにする方向で検討している」「診断を義務付けるのは、高さが道路幅の半分以上の建物」

若干解説を加えると、
「古い建物」1981年(昭和56年)5月以前に建てえられた建物と一般には言うが、詳しくは建築確認申請時期が5月より前の建物と考えたほうがよい。
「高さが道路幅の半分以上の建物」環7の道路幅は20.5mなので、半分は10.25m。3階より少し高いぐらいなので、分譲マンション(木造を除く3階建て以上の建物)はすべて対象になる可能性が大。
「緊急輸送道路」第1次から第3次まで計画されている。記事から推測すると、第1次道路を予定しているようだから、足立区内では環7のほか国道4号線と尾久橋通りの3線が、中野区内では環7のほか新青梅街道と青梅街道の3線が該当すると推測。(第2、3については、条例等で確認してほしい)

該当する沿線にあるマンションで、旧耐震基準で建築された建物のうち、近いうちに耐震診断を実行しようとしている管理組合は、この条例に基づく費用負担軽減のことも検討材料に追加して、再検討することも合意形成には必要になるかもしれない。特に、必要性を理解しながらも、資金問題から躊躇してきた管理組合だった場合は、なおさらだ。


②「住宅・建築物耐震化緊急支援事業の募集の開始について」11月30日朝刊
「古いマンションで耐震診断を実施する場合、国が直接助成する制度を国土交通省が新設し、29日から募集を始めた。来春からの予定だったが、今年度の補正予算で60億円が盛り込まれたため前倒しする。来月22日までに応募したマンションに優先的に助成する。」

こちらの方は、応募期間が限られているので、耐震診断や耐震改修を検討している管理組合は、意思決定を急ぐ必要がある。
以下は、住宅・建築物耐震化緊急支援事業実施支援室のホームページを抜粋したもの。

1)募集する事業の種類
[1]耐震診断支援
[2]耐震改修支援

2)対象となる住宅・建築物
[1]耐震診断支援
 ・緊急に耐震化が必要な建築物※、分譲マンション
[2]耐震改修支援
 ・緊急に耐震化が必要な建築物※
 ※緊急に耐震化が必要な建築物:緊急輸送道路沿道建築物、避難路沿道等建築物、災害時要援護者関連建築物(保育所、学校、老人ホーム、病院等)

3)補助額
[1]耐震診断支援
 耐震診断に要する費用の額(ただし、1棟当たり200万円が上限)
[2]耐震改修支援
 耐震改修に要する費用の1/6以内の額(ただし、47,300円/㎡が上限)

4)応募の期間
 平成22年11月29日(月)から12月22日(水)まで(必着)

※応募に関する問合せ先・応募書類の入手先・提出先
 住宅・建築物耐震化緊急支援事業実施支援室
 支援室ホームページ:http://www.taishinka-shien.jp

 

2010年11月21日

超高層マンション火災

「高層住宅全焼42人死亡 上海」という見出しの記事が11月16日、掲載された。同日のテレビでも放映されたので、見た人は多いと思う。建物全体が炎に包まれている様子は恐ろしく、同時爆破テロで焼け落ちた世界貿易センタービルを思い出した。超高層マンションに住んでいる人は、他人事とは思えない緊張感を覚えたのではないだろうか。
 外壁工事中だった中国上海市の28階建(約160戸)マンションは、10階付近で溶接工が違法な工事を行ない、火花が竹製の足組やナイロン製の部品に飛び散り、壁の保湿剤に燃え広がって、建物全体に火が広がったのだという。
 新聞の現場写真やテレビのニュースを見た時、日本でも起こる可能性はあるのだろうか?と考えてみた。
  以前、30階建てマンションの管理に携わった経験と、消防設備士の有資格者という立場でいうと、消防設備点検等を適切に行なっていれば、このようなことは起こらない、というのが私の結論だ。(無論、100%ないとは言い切れないが) 日本の超高層マンションの場合、消防法の厳格適用等の効果もあって、警報、消火等の消防設備はかなり念入りに設備されている。建物内で火災が発生した場合は、最初に火災報知器が作動して警報音(又は音声)が発報し、ほとんど同時にスプリンクラーが作動する。上部階への延焼要因は、階段等の開口部が煙突の役割をして燃え広がるのだが、そこには防火扉が設置されている。だから、通常の火災の場合、該当居室だけで終わることが多いのだ。
 超高層マンション住民が知っておいた方がよいことは、①消防設備の配備 ②設備の維持管理状況 ③自衛消防隊 ④消防設備の維持管理コスト の四つだ。これらのことは、理事会に問い合わせても分かることだが、定期総会に出席して、みんなで議論するほうが防災上効果的だ。年二回行なわれる防火訓練に参加して、自分達の棲家の消防設備や態勢がどのようになっているか、実際に知る必要がある。これまで訓練に参加したことがない、と言う人は是非参加して、自分達の「安全・安心」について考えるべきだ。大切な命と財産を他人任せにしてはいけない。
 ちなみに、消防自動車(はしご車)の能力は、市町村レベルで保有している車は高さ30mくらいまでしか伸びないことを知っておこう。大体10階ぐらいまでだ。最大級のはしご車でも50mだから、大体15階くらいの高さしか届かない。それより上は初期消火用の消火器とスプリンクラー、屋内消火栓設備が頼り、ということになる。
 なお、問題は、消防設備の維持管理コストがばかにならないことなのだが、こちらの方は専門家しか評価できない面があり、妥当性の判断は難しい。「安全・安心」と同時に、設備維持管理コストについても、考えてみる必要がある。

【用語解説】
 超高層   高さ60m超えの建物。(当委員会は)20階建て以上のマンション
 消防設備  1類から7類までの7類に区分けされている

2010年10月 4日

コミュニティーを培う

9月9日から10月1日にかけて、「マンションに住まう」という連載ものが朝日新聞に掲載された。各界の著名人が、リレー式で住み方などを語る内容だが、最大の特徴は登場人物が総て女性であること及びマンションのいろいろのことに精通している人が登板するという点にある。主な記事を紹介してみたい。

トップバッターは女優の坪内ミキ子さん。
 『人生70年、ずっとマンション暮らしです。しかも同じ場所で(同潤会江戸川アパートメント)。関東大震災(1923.9.1)後の義援金をもとに設立された同潤会は、いまのマンションのルーツともいえる、鉄筋コンクリート造りの集合住宅を首都圏に広めたことで知られています。(永く住んだ理由として、同じ建物の別の部屋に母親が住む暮らし、生まれたときから知っている幼馴染や近所の人に囲まれている気安さ、そして必要以上に踏み込まない節度など、安心とプライバシーのちょうどいい兼ね合いがあったことをあげています)
 ほとんどの部屋にお風呂がなく共同浴場があるような建物ですから、近代的なマンションとはほど遠かった。電力は15アンペア。リビングもない。建物の老朽化も進んだ。いよいよ建て替えが避けられないとなっても、話がなかなか進まなかったのは、時代と逆行するような存在への愛着と、「どんな人が入ってくるか分からない」という不安感があったのでしょうね。最終的に建て替えが決まったのは02年。検討が始まってから30年が経っていました。
 同じ土地に05年に完成したマンションの「コミュニティー重視」の文化はいまも健在で、餅つき大会やサマーパーティなど住民発案の企画も多く、自らも陶芸クラブに入り、若い人たちと焼き物を楽しんでいます。』

4番バッターは、管理組合などの問題に取組む弁護士の篠原みち子さん。
 『マンション問題にかかわりはじめたのは、1981年ぐらいから。当時はマンションについての相談は少なく、弁護士のところに来ること自体が珍しかった。2001年にマンション管理適正化法が施行された頃から、マンション管理に対する関心が高まった。それまでは管理会社にお任せで、管理について感心がない人がほとんどだったのが、こういう管理規約でいいのか、条文の解釈は、管理費の額は適正かといった関心を持つ人が増えた。一方で、管理会社への委託費を無理に値切ったり、管理会社を安易に代えたりする傾向も一時目立った。権利意識が強くなったことが、いい面と悪い両面に出たように思う。
 マンション管理の現場では、区分所有法や管理規約ですべて解決できるわけではなく、法律と実態との中間で対応するしかない問題も多い。法律でぎりぎり詰めていくと、必ずしもいい結果を生まない。
 マンション住民の高齢化に伴う問題も出てきている。年をとって、「役員はもう勘弁して」という人が増え、管理組合の役員のなり手がいない。マンションが古くなると管理費の値上げや一時金の徴収が行なわれるので、年金生活の高齢者が払えなくなる。滞納額があまり多くなると管理組合も放置できず、法的手段に訴えて、最悪の場合は部屋を競売にかける。そうなれば高齢の住人が行き場を失ってしまう。
 私もずっとマンション住まいですが、快適に暮らしていくためには、やはり居住者間のコミュニティーが重要。顔を知っていて、日頃からあいさつを交わしているだけで、トラブルの処理もかなり違ってきます。管理組合はあくまで共用部分の維持管理が中心なので、できることには限界があります。自治会や町内会などで周辺とのコミュニティーを作っていかないと、防災や防犯はうまくいかない。管理組合と違い、自治会への加入は個人の自由ですが、夏祭りなどの催しが楽しいと感じてくれれば、加入者は増えていくでしょう。そうやってコミュニティーを培っていくことで、法律では解決できない問題にすこしでも対処できるようにしていくしかないのかな、と思っています。』

8番バッターは、明海大学不動産学部教授の齊藤広子さん。
 『マンションに住むからには「安心と安全」は、とても重要な要素になります。とりわけ大地震や災害時の防災対策や態勢が整っているかどうかは非常に大切です。私は「安心と安全」を築くためには、建物がしっかりした耐震構造になっているかというハード面だけでなく、マンションにおけるコミュニティーの役割が決定的に重要だと考えています。それは大きく、「顔知り」「助け合い」そして「共同管理」の三つのコミュニティーに分けられると思います。
 「顔知り」は、自分の暮らす住戸の両隣や同じ階に暮らす人々がどんな人かを互いに把握しているレベル。「助け合い」は、いざという時に互いに助け合うレベル。「共同管理」は、マンションの建物全般を管理するレベル。この三つは別々にではなく、相互に連関しています。
 防犯の観点からは「顔知り」で十分ですが、被災時などには「助け合い」が必要になります。建物の耐震性の診断を受けたり、防災計画や修繕計画をまとめたりするには「共同管理」、具体的には管理組合が役割をはたさなければなりません。
コミュニティーと言うと、近所付き合いや組合の役員など面倒なことばかり思いつくかもしれません。でも、マンションには比較的似た価値観や生活レベルを持った人々が集まっています。「安全な場所で安心して暮らしたい」という目標では一致できるはずです。私はこうした日本型の住民管理は、管理会社任せで自らは管理に参画することが少ない欧州よりも進んでいると思います。1995年の阪神・淡路大震災では2500棟余りの分譲マンションが被災しましたが、「顔知り」コミュニティーや管理組合というつながりがあったことで、水道や電気などのライフラインが止まっても、お年寄りの住戸に若い住民が水を運ぶ等して助け合ったことで生活復興も早かったのです。「安心して暮らせる住まい」を取り戻そうと住民が知恵を出し合って協力したため、建物自体の復興も戸建てより早かった。』

 

お三方の記事を要約すると、
①マンションは生活の場だから「安全、安心」が一番大切
②「安全・安心」は、良好なコミュニティー形成から生まれる
③区分所有法や管理規約ですべて解決できるわけではなく、法律と実態との中間で対応するしかない問題も多い。法律でぎりぎり詰めていくと、必ずしもいい結果を生まない。
④居住者間のコミュニティーが重要。顔を知っていて、日頃からあいさつを交わしているだけで、トラブルの処理もかなり違ってくる
⑤「顔知り」「助け合い」そして「共同管理」の三つのコミュニティーは別々にではなく、相互に連関している
⑥マンションの建て替えには長い時間が必要
ということになると思うが、お三方が異口同音にコミュニティー形成の重要性を言われている点が非常に興味深い。そして、マンション管理の現場を知り、管理運営に従事する者として、この考えにまったく同感だ。
 マンション居住者の中には、プライバシー(個人情報)という言葉を言い訳にして、人付き合いの煩わしさを避けている人がいる。その人たちの典型的な行動の一つは、管理組合が行う各種名簿作りに協力しないことだ。情報化社会が進む現代、プライバシーは保護されるべき大切な権利なのは間違いないが、マンションは一種の共同住宅なのだから、そこに住む人たちはそれなりの自覚を持つことが必要だ。プライバシーという言葉を、人のつながりを断ち切る呪文に使ってはいけない。いざというときの備えとして情報整備が大切、ということに思いをめぐらすべきだ。
 朝昼晩の挨拶の繰り返しが親しくなる一番の近道だから、自分の暮らす住戸の両隣や同じ階に暮らす人々がどんな人かを把握する「顔知り」から始めよう。

 

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2010年9月 2日

耐震改修、国が直接助成 来年度から 一戸当り30万円

9月1日付夕刊に「耐震改修国が直接助成 来年度から一戸当り30万円」との見出し記事が掲載された

『戸建て住宅やマンションの耐震改修を促すため、国土交通省が戸当り一律30万円を国費で助成する新制度を来年度から導入する。
同省の調べでは、現行の耐震基準を満たす戸建て、マンションの割合は2008年で全体の79%。約950万戸が基準を満たしていない。政府は2015年までに9割まで引き上げることを目標としており、今後5年間で約450万戸の耐震改修が必要とされる。
従来の国の助成制度は、改修にかかる費用の23%を上限に、国と都道府県・市町村が折半する仕組みで、個人負担が重いうえ、財政難から助成制度の導入を見送る自治体が多く、マンションの耐震改修では、全市区町村の約2割の351市区町村に限られていた。
新制度では全国一律に、戸建てもマンションも1戸当り30万円を国費で助成し、住んでいる市町村に関係なく助成が受けられるようになる。
また、分譲マンションの耐震診断に、1棟当り上限200万円を国が直接、助成することにする』という内容だ

  平成20年に行った「築25年以上足立区分譲マンション管理実態調査報告」によると、旧耐震基準で建築されたマンションが区内に162棟あり、そのほとんどが耐震改修を実施していない。耐震診断・耐震改修工事を検討している管理組合も、回答者の約1/3にあたる37%程度と少ない。
そして、耐震改修を進めるうえでの問題点として、回答者の9割が「費用負担」をあげている。
この報告結果からも分かるように、今後発生するかもしれない地震に備えることと、耐震診断・耐震改修にかかる費用負担を秤にかけると、当面は後者を選択せざるを得ない、という現実が見えてくる。資金問題こそ最大の問題ということに対して、国の直接支援に頼るということは、自主・自立の精神とは入れないものがあるかもしれないが、それにより「安全・安心」な住環境が整うのであれば、こんなうれしいことはない。制度の着実な実行を望みたい。
なお、足立区が現在行なっている助成制度を以下に記するので参考にしていただきたい

●足立区の耐震助成制度(2010.9現在)
昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された居住用建物等の耐震診断・改修設計・改修工事費用の助成を行なっています。
①耐震診断助成
診断費用の1/2以下で上限500万円/棟 又は総戸数×10万円/棟と比較して低い額
②耐震改修設計助成
上限300万円/棟(設計費用の1/2以下)
③耐震改修工事助成
上限3,000万円/棟(工事費用の1/3以下)

※助成要件など詳しいことは足立区へ問い合わせてください。
問合せ先:建築調整課 耐震助成係 ℡(3880)5317

2010年5月 7日

マンションに防災倉庫 促進(都、住居面積に含めぬ新制度)

4月26日朝刊に首題の囲み記事が掲載された。
「地震などの大災害に備え、防災備蓄倉庫を新築のマンションに備えた場合、倉庫分の面積を、建築できる延べ面積に上乗せできる制度の導入を決め、今秋にも実施する。都内で急増する高層マンションの中高層階への倉庫設置を促し、エレベータが止まっても住民が階段を上り下りせずに、非常食などを受け取りやすくするねらいがある」
「今回導入する制度は、都が建築許可を出す大規模物件が対象で、敷地に応じて設定される延べ面積の上限に、倉庫分の面積を上乗せして建てられるようにする」という内容だ。
防災倉庫は災害時に住民が利用する非常食や飲料水、毛布、簡易トイレなどを保管するスペース。マンションの延べ面積は敷地の広さに応じて決まるが、高層マンションに限らず防災倉庫のない物件が多いのが現実。『倉庫を設けるには住居部分の面積を削る必要があるため、分譲業者は販売戸数が減ることを嫌い、自発的につくることが少ないのではないか』との行政側のコメントも掲載した。

この制度には大いに期待したい。
以前、30階建ての複合用途型(住居300+店舗等12)の管理組合運営に係わったことがある。最上階は地上から100mなので眺望が良い。しかし、いざという時には大きな問題が懸念された。
大規模災害時に懸念されることは、建物損壊を別にするとライフラインの寸断だろう。電気、ガス、水道といった生活に必須な部分が停止してしまったらどうなるか。眺望のよさを楽しんでいた「高さ」が、障害事項にはや代わりする。30階は階段数では約540段。あの金比羅宮785段、伊香保温泉360段にもそん色ない階段の上り下りは、若い人でも大変だ。物を持って上る姿を想像してみよう。その対策として、非常用自家発電装置が設置されているので、燃料がある間はエレベータも動くし水の供給(受水槽分)も心配ない。しかし、燃料供給体制については未検討だから、どの程度有効かはわからない。

現状、高層マンションに限らず大部分のマンションが防災倉庫を備えていない。それどころか、コミュニティ形成に必要な設備(集会室)や大切な管理組合資料を保存する場所がないといった問題に直面しているのが実態だ。分譲マンションの共用部分は必要最小限に止められている。広くすると1戸あたりの分譲価格が上昇し、売りづらくなるからだ。専有部分に強い関心がある組合員予備軍も、廉価なほうが魅力的だ。共用部のことや管理組合運営に関心を示さない予備軍の姿勢にこそ問題があるのだが、だからといって責めることはできない。問題を含みつつも、この関係は今後も変わらないであろうことを考えると、建築基準法の改正(共用廊下等の部分に係る容積率の不算入措置)が効果をあげたように、この制度導入が契機となって、共用部がより使いやすい形に誘導されることは望ましいことだ。既存マンションが羨望の目で見るような運用をおこなってほしい。

2009年1月17日

地域の人々をつなぐ「隣人祭り」

「隣人祭り」とは、都会の集合住宅に暮らす人たちが年に一度、顔を合わせて食事をしながらおしゃべりをする催しで、10年前にフランスで始まった新しいご近所づきあい。いまや欧州を中心に29カ国、800万人が参加し、日本でも各地で開催されていると紹介されている。
隣人祭りのきっかけは99年、パリの区議アタナーズ・ペリファンさんが失業者や身寄りのない人々への支援活動中に起きた事件。(訪れたアパートで、孤独死し1ヶ月以上放置されたお年寄りの遺体を発見した)『周囲との交流があれば…』ペリファンさんは「もう少し触れ合いがあれば悲劇は起こらなかったのではないか」と考え、隣人祭りを呼びかけることにした。(以上新聞記事から)
安心・安全を考えるとき「防犯」は重要なキーワードだが、居住者が日常の挨拶を交し合うマンションは、犯罪に遭いにくいということを知っているだろうか。また、一度でも言葉を交わしていたならば、「感情公害」とでも呼ぶべき近隣(生活)トラブルが減少する、ということが関係者の間ではよく知られている。
マンション居住者の中には、他者とかかわりを持ちたくない、管理会社等にすべて任せておけばよい、と考える人もいる。しかしながら、自分が住んでいるところを少しでも住みやすいものにしたいと考えたら、単独主義や個人主義は通用しない。最近は個人情報保護法の勝手解釈が横行し、なんでも隠したがる傾向が顕著になってきた。管理組合に提出する居住者名簿がきちんと提出されないと言う話は、まさにこの類ではないだろうか。
管理組合には、「隣人祭り」の趣旨を理解して、周囲との交流を増やすきっかけづくりに積極的に取り組むことを望みたい。日本の伝統行事である盆踊り、納涼祭、餅つき大会や新年会、若い人が喜びそうな焼肉パーティなど人と人の出会いを演出する方法は何通りもある。趣旨がちょっと違うかもしれないが、消防訓練や防災訓練に焼肉パーティを付加してみるのも面白い。町内会が行う祭礼(神輿)や盆踊りに参加するのは地域コミュニティ形成に大いに役立つ。組合員とその家族が積極的に参加できる雰囲気作りができたなら、マンションライフを盛り上げる一助になることは間違いない。そして最大の効果は「住んでいる人を知れば、自分が一番安心できる」ことを、居住者が理解することだ。
最後に、これを読まれたあなたにお聞きします。あなたはメールボックスと玄関の両方に表札を出していますか?

 ■参考情報…「隣人祭り」 http:// www.rinjinmatsuri.jp

2008年11月23日

マンションの使用暴力団には制限

11月22日付朝刊に「共同住宅の使用、暴力団には制限。豊島区が条例改正案」という記事が掲載された。「マンションの管理者に対し、暴力団員の居住・使用をさせないよう求める生活安全条例の改正案を、定例議会に提出する。マンションなどの売却・賃貸契約について、あとで暴力団関係者と判明した場合や犯罪に用いられた場合は、催告なしに契約を解除できる。可決されればH21年1月から施行される」という内容で、全国初の規定になるらしい。

「自分達の街、自分の家、自分が住むマンションは自分達(自助・互助)で守る」のが自治に対する基本的な考え方だ。コミュニティに「悪は許さない」という基本姿勢を定着させ、安全、安心、そして快適に暮らせる環境を創出しなければならない。しかしこのような自覚も、多くの人たちから理解され支持されなければ、なんの効果も生じない。だから法律(条例)の力も借りて自分達の街や棲家を守る必要があるのだ。豊島区以外の区に対しては、安全・安心な暮らしを担保する観点から、法環境の整備・充実とともに同様の規定を定めることを期待したい。

またマンションの場合は管理規約が自治規範になる。今回のように行政側が条例を整備したら、管理組合は早急に管理規約を改正する必要がある。そのことにより、こうした取組や自治に対する基本的な考え方を、組合員に周知する機会にすることにもつながる。特に全戸ファミリータイプのマンションの場合は、平穏な暮らしを守るため条例の考えを、管理規約にきちんと規定することをお勧めしたい。

◆管理規約条文例は上部グローバルナビゲーション自主管理支援をご覧ください。

関連情報(21.1.10)佐賀県が同様の条例案を2月議会に提出予定。県レベルでの条例制定は全国初。

 

2008年11月10日

マンションにAEDを設置

11月3日付朝刊に「マンションにAED 千代田区が無償設置」という記事が掲載された。「千代田区は、区民の約8割がマンションに住んでいる。地域の安心安全のためにと、区民の要望を受けて始めた。管理規約が整備されている、町会に加入している、居住者の3人以上が「普通救命講習」を受けている、など6条件を満たした管理組合が対象だ。区がリースでAEDを用意し、管理組合に3年間、無料で貸し出す。期間は更新できる。」という内容だ。

この記事を読んで、住民の「安心・安全」ニーズにマッチした良い施策だと感じるとともに、わが足立区の実情を考えると、同じことは期待できないかもしれないと思わざるをえなかった。

私のマンションではこれからだが、所属町会ではAEDの購入が話題になっている。私が住む地域は高齢者が多いこともあって、AEDに対する関心は高い。記事にある「普通救命講習」を受けている人も何人かいる。問題は購入費用だ。オープン価格といわれているが1台当り約40万円は少々お高い。弱小町会の年間予算では購入が難しい金額だ。レンタルで月2万円程度らしいが、この予算が捻出できない。だから購入は諦めて、必要な場合は公共施設に設置されているものを使うことを考えている。ちなみに、町内には住区センター、区立保育園、私鉄の二駅、消防出張所がある。  【防災士記】

【参考】

AED(自動体外式徐細動器)……けいれんして血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)の心臓に対し、電気ショックを与えて、正常なリズムに戻すための医療機器。

AED設置の必要性……心臓停止後約3分で死亡率は50%に達するといわれている。一方119番通報から救急車が現場に到着するまでには平均6分以上かかるとされている。突然心停止が起きた場合には、近くにいる人が一刻も早く心肺蘇生やAEDによる措置を施さないと、救急車が到着する前に命が失われたり、重い障害が残ったりする危険性がきわめて高くなる。

足立区:人口約653,000人・世帯数291,000、昼間人口はマイナス14%、マンション世帯率約18%

千代田区:人口48,000人・世帯数24,800、昼間人口は約20倍に増加する。

2008年11月 3日

防犯(不審者)について考える

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地域活動で防犯部長の仕事を担当している。先月は「全国地域安全運動」の一環として、町内住民と一緒に夜間パトロールを実施した。「自分達の街、自分の家、自分達のマンションは自分達(自助・共助)で守る。その上で警察行政等(公助)の力を借りる」のが自治に対する基本的な考え方だ。コミュニティは安全、安心、快適でなければならない。

このところの朝日新聞「探る」欄では、振り込め詐欺に関する記事を連載している。10月30日には「送金、エクスパックを指定」と題する記事を紹介しているが、注目すべきはその内容だ。「融資保証詐欺グループが摘発されたのは、エクスパックの専用封筒がごみ置場に大量(600通)に捨ててあり、不審に思ったマンションの管理人が警察に通報したことがきっかけだった」というのだ。

現場となったマンションの評価はどうだろう。〇〇詐欺の△△が住んでいたマンションだ、と当分云われることになるかもしれない。見てみぬふりをしていたほうが良かったのだろうか?個人情報との関係は?

この種の問題は、仮に見てみぬふりをしたとしても、悪人はいづれ必ず捕まる。そのときには評判になるだろうし、今よりずっと大きな事件になっているかもしれない。大事なことは風評を気にする事ではなく、コミュニティに「悪は許さない」という基本姿勢を定着させることだ。管理業務系の仕事では、区分所有者も管理会社も面倒な事には係わりたくないと考えるのが人情だ。その点この管理員の取った行動は評価されて良い。もしかしたら、確かな倫理観に基づいたコミュニティ形成を日ごろから考えていたのかもしれない。

最近は不法就労、偽装結婚偽装認知など外国人とそれを手引きする人たちによる犯罪が多発していると聞く。稼ぐ手段として風俗や深夜マッサージなどいかがわしい業に従事する者も多いらしい。そんな人たちが自分達のマンションに居ついてしまったら…。

悪い事をする人たちは「人目につく」「声を掛けられる」「環境が明るい」ことを嫌う。だから目立たないように静かにしている。しかし、静かだからそっとしておけばよいと考えたら間違いだ。先に記したように将来大きな事件になるかもしれないし、予期せぬ事故が起こるかもしれない。そのときには悪評が立つなど大きな迷惑行為になる。

管理者がやるべきことは「予防対策」だ。初めに管理規約を確認し、不備がある場合は改正を検討する。そして、コミュニティに「悪は許さない」という姿勢をアピールし、挨拶運動などで「声掛け」を励行する。「不審者」がいると思ったら警察に相談する。管理規約に基づく各種届出をきちんと提出させることも大切だ。届出と同一人物かどうかは在留資格認定証明書や防犯カメラの映像で確認する。これらの対応をすることが管理をきちんと行うということだ。管理がきちんと行われていたならば悪が入り込むすき間はない。   【 防犯設備士、警視庁振込め詐欺被害防止アドバイザー記】

※偽装結婚等の事件記事:20.10.27朝刊「中国人両親 出産直前 日本人と偽装結婚」、20.11.6朝刊「『子に日本国籍』ビジネス 中国人の女 ブローカーに成功料」

◆管理規約の条文例は上部グローバルナビゲーション自主管理支援をご覧ください。