自分たちで管理する(自主管理)支援

マンションの管理形態としては、大きく別けて①全部委託管理②一部委託管理③自分たちで管理する(自主管理)の三形態に分類されます。
①の全部委託管理とは、管理会社へ管理業務を全面的に委託する方式のことで、多くの管理組合がこの方式によっていますが、管理組合の主体性発揮および組合員のモラール向上といったことや、コストと品質の維持管理に課題が生じるなどの問題点があります。
②の一部委託管理方式は、一部の業務については管理会社に業務委託するけれど、ほとんどの業務は管理組合自らが業者(清掃員雇用等を含む)と直接契約する方式のことです。
③自分たちで管理する(自主管理)とは、出納・会計・修繕の企画といった基幹事務を管理組合が管理会社を頼ることなく自らおこなう方式です。他の方法に比べると人的労力を必要としますが、管理品質やコスト並びに生活管理面について、自分たちが納得のいく形で管理運営することができます。

ところで、共用部の維持・管理を行うことが、管理組合の主要な業務ですが、物事には ①問題発見 ②改善策の立案 ③組合員の合意形成 ④実行といった大きな流れがあります。

そして、その対象は建物の損傷や設備の不具合であったり、経年劣化であったりしますし、会計・出納といった経理事務のことであったりするなど、様々な要素・局面があります。

自らが主体的に行動しようと思っても、「ノウハウや専門的知識がないので、何を、どのようにやったらよいのか、またその手順はどのようにするのかなど、わからない事が多過ぎる。自主管理は難しい、面倒くさい」と考える人は多いと思います。

しかしながら、管理組合全体の約1割は自分たちで管理(自主管理)運営しているという調査結果もあるとおり、決して出来ないことではないのです。必要なことは、「中核となる人数名」と「一歩前に踏み出す勇気」の二つです。

すべてのことを自分たちでおこなう「完全自主管理は難しい」と考える人でも、自主的に物事を考えて、主体的に行動することは出来ると思いますので、現状の管理に不満がある場合には、管理組合運営に積極的にかかわって、管理会社変更も視野に入れた取り組みをしてみては如何ですか。(管理会社変更は難しいことではありませんので、検討中の方は下記の『管理会社の変更手順』を参考にして、課題の一つひとつを確実に実行してみてください。皆さんの「熱意と努力」で目的は達成できるものと確信します。)

「今の管理会社には不満がある」「自らが主体的に取り組みたいが、管理ノウハウがないので不安だ」「自主管理を行っているが後継者がいなくて困った」という方や「出納・会計業務はお金がらみなので信用できる第三者に頼みたい」といった希望をお持ちのかたは、私たち自主管理支援委員会へ相談してください。これまでよりも一歩・二歩前進した管理組合運営のお手伝いをします。

私たちへの支援要請は、事務&メニューをご覧の上、お問合せ画面からお願いします。


委員名簿 (2007.8現在)
森田 和彦 氏 マンション管理士 (住環境コーディネイター)
横村  聡 氏     同上      (一級建築士)

 

◇◆***  自分たちで管理する(自主管理)理念 ***◆◇ 

知識・能力を向上させて、自ら主体的に考え・行動する管理組合だけが、管理会社と対等に付き合うことが出来る。
管理組合は自主・独立(自立)しなければならない。
管理委託費をはじめとした各種費用の見直しをおこない、修繕積立金の充実をはかる。



☆★☆  このウェブページには、自主管理の導入やレベルアップに必要なスキルを補完する目的で、管理運営上(建物・設備等の維持管理、生活管理、運営管理)のノウハウを掲載するので参考にしてください。(テーマは順次増やしていきます) ☆★☆
1.管理会社変更の手順
2.定期総会進行シナリオ(普通決議案件)
3.滞納管理費等回収のポイント
4.迷惑ビラ、チラシの扱い
5.管理規約条文例
6.役員選出規定
7.自分たちで管理(自主管理)することのポイント
8.未定



◇◆***  1.管理会社変更の手順***◆◇

各種資料準備

 

「管理委託契約書」「決算書」その他参考資料を用意する

 

 

調査業務

 

資料から品質面、コストダウン可能性を調査・検討する

 

 

アンケート調査

 

アンケート調査により、民意(組合員の意向)を確認する

 

 

理事会方針の決定

 

理事会の意向と方向性を統一する

 

 

説明会

 

組合員に理事会の考えを伝え理解を得る

 

 

予定価格積算

 

各業務の共通仕様を決定し、予算を積算する

 

 

業者選定

 

管理委託業者を複数社選定する
(自主管理の場合は)業務ごとに業者を選定する

 

 

見積り徴取

 

見積りと予定価格の比較検討を行う

 

 

ヒアリング

 

各社の考えを面談(フロント、管理員直接)により聴き取る

 

 

理事会案

 

管理に対する考え方、具体的な方法、費用概算などを決める

 

 

総会決議

 

総会で承認を求める

 

 

契約締結

 

新管理会社と契約を締結する

 

 

業務履行状況確認

 

新管理会社の業務執行状況を調査し、面談時の応答内容と比較する。不履行がある場合は改善を要求する。

 

 

 

 

 

◇◆*** 2.定期総会進行シナリオ(普通決議案件)***◆◇

<受付業務>

①事前準備作業=当日使用する受付票を準備する。

②当日の仕事=定刻になったら、当日出席者数、議決権行使者数、委任状出席者数の集計を行い、議長に報告する。

<司会者>

○ 本日はお忙しいところ、ご出席頂きましてありがとうございます。△△号室、理事の△△です。

○定刻になりましたので、◇◇管理組合の定期総会を開催いたします。

○議長の選出ですが、管理規約第○○条に基づき、○○氏に議長をお願いします。

<議 長>

○ご紹介いただきました△△号室、理事長の○○です。本日の定期総会の議事進行役を務めさせていただきます。ご協力の程よろしくお願いします。

○××時現在の出席者数は、出席○○名、議決権行使○○名、委任状○○票、合計○○です。

○管理規約第○○条に定められた議決権総数の半数以上となりましたので、本定期総会が適正に成立することを宣言します。

○本日の議案は普通決議事項ですので、管理規約第○○条に基づき、出席議決権○○個の過半数××個以上により決議されます。採決方法は、「挙手」によりたいと思います。

<議 長>

○1号議案の読み上げ

○監事を指名し、監査報告を要請する。

----質疑応答---

○その他の質問はありませんか?

○質問がなければ採決に移ります。

○第1号議案をご了承頂ける方は挙手をお願いします。

○委任状を含め賛成者○○名、議決権行使賛成○○名、合計○○ですので、第1号議案は承認されました。


-----以下同様に各議案を審議する----


○閉会宣言

「以上で定期総会の議案審議は総て終了しました。閉会を宣言します」



◇◆*** 3.滞納管理費等回収のポイント ***◆◇

★「督促」の一般的な手順等

1.未収連絡はがきの送付

・納付期日後短期間で収納状況を把握し、直ちに未納者あてに支払を促す。(定型文でよい)

2.書面による督促

 ①滞納が複数月になった時は書面により督促する。

 ②3ヶ月以上の滞納者にはペナルティ(共用部使用契約の解除等)を課す事を検討する。

  注.生活を脅かす行為は不可。△△契約書の条項に注意。

 ③滞納月数に応じて、順次文面を強化する。(氏名公表をほのめかす等)

3.電話による督促

 ・滞納が複数月になったら、書面督促の他、電話督促を併用する。

 ・3ヶ月以上未納で、同居者では要領を得ない場合は、勤務先への電話を検討する。

4.戸別訪問による督促

 ・休日や夜間の在宅時に区分所有者と面談して、滞納原因を的確に把握する。

 ・経済的な事情の場合は分割請求を検討する。

 ・「支払誓約書」兼「返済計画書」を提出させる。

 ・事故防止等のため、戸別訪問は複数人で行う。

5.調査関係(長期滞納の場合)

 ・不動産の登記事項証明を取得し、差押、抵当権の有無等を調査する。


※滞納問題は早期発見・早期対処がポイントなので、6ヶ月までの間に上記1~4を全て実行する。

★法的手段による回収

1.催告(法的手段の準備段階と考えること)

 ・内容証明郵便で債務の履行を要求する。

2.支払督促(支払命令)

 ・相手が住んでいる管轄の簡易裁判所に「申立書」を提出する。

 ・相手に送付されてから2週間経過しても異議申立が無い時は、更に仮執行の宣言をつけるよう申立てる。この決定が       出れば強制執行ができる。

 ・相手から異議の申立があった場合は訴訟になる。

 注.事前に強制執行可能な財産の有無を検討しておく。財産が無い場合、債権回収は空振りとなる。

3.民事調停

 ・簡易裁判所の調停官の前でお互いの主張を述べ合って解決策を探す。

 ・調停が成立すれば判決と同じ効果がある。

4.訴訟

 ・管理費等の滞納金額と裁判費用・弁護士費用のバランスを十分検討する。

 ・滞納金額が60万円未満の場合は、少額訴訟('98施行)制度を利用する。

 ・滞納者が顔見知りの場合、訴訟決議を議案化しずらい事がある点に留意する。

★滞納管理費に関して押さえておきたいこと

1.管理費等の滞納は法§6の「共同の利益に反する行為」(通称:迷惑行為)に該当。

2.早めにすばやく手を打つこと。「初期消火」が肝心。

3.督促の記録(5w1H)をつける。

4.時効に注意し、本人から「必ず支払う」という書面の約束をとる。

5.5年以上前の滞納金でも、本人が書面で滞納の存在を認めれば、そこから新たに5年間は請求できる。諦めてはならない。

6.訴訟は「時間と費用がかかる」ということを認識する。

7.規約に「違約金として弁護士費用等を負担させる事ができる」旨規定する。

8.規約に「3ヶ月以上の滞納は理事長が法的手続きできる」及び「延滞金利」を規定する。

9.実務面で利点が多いのは所有権移転時(売買契約等)の滞納金清算。

10.競売機会(注.法§8特定承継人の責任)をのがさない。(裁判所へ上申書を提出する)


【用語解説】

時 効:定期給付債権の時効は5年(最高裁判決)

時効中断:確定判決や債務承認で時効は中断する。そして新たに始まる。

訴 訟:裁判費用と弁護士費用が必要。弁護士費用のほうが高い。勝訴しても直ちに全額取り戻せる保証はない。(無い袖は振れない)

包括承継人:一身専属的なものを除き全てを承継する者。典型例は相続人。

特定承継人:他人から特定の権利だけを承継する者。典型例は売買契約の買主。

建物の区分所有等に関する法律:1棟の建物の内部を独立に区分してその部分を所有の対象にする場合の所有関係と、そのような建物や敷地などの管理関係について定めた法律。マンション法ともよばれる。

法§6(区分所有者の権利義務等):「…管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」

法§8(特定承継人の責任):「…債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」



◇◆*** 4.迷惑ビラ、チラシの扱い***◆◇

迷惑チラシ類の取扱いについての一般的な方法は以下のとおり。
これらを参考にして適切な方法を選択、実施する。

・部外者の敷地、建物内無断侵入を禁止する掲示物の設置

・ビラ、チラシ類無断投函禁止掲示

・無断投函広告主に警告する

・居住者による「投函禁止ですよ」声かけ運動

・チラシ入れが未設置の場合はA4サイズの入れ物を設置

・既設チラシいれ容器の使用を中止する

***区別管理を選択する事もできる***

※ 区別管理:希望する居住者のみ投函フリーにする方法

・管理の実務上難しい面があることを理解したうえで実施する必要がある

・部外者の侵入を抑止する掲示物は設置できない

・区別管理のことを理解できる掲示物を設置する

・投函できるメールボックスは識別シールを貼付する(逆でも良い)



◇◆*** 5.管理規約条文例 ***◆◇

(暴力団、不良入居者等の排除責任)

第 〇〇 条 区分所有者は、共同生活環境を侵害する恐れがある者及び暴力団もしくはその構成員等に専有部分を譲渡または貸与してはならない。

2項 区分所有者は、自ら暴力団の構成員となり、または次の各号の行為をしてはならない。

一号 対象物件内の共用部分、付属施設・設備等に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第2号に定める団体の組織、名称、活動に関する看板、名札、写真、提燈、代紋、その他これに類する物件を掲示もしくは搬入すること。

二号 対象物件内に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第6号に定める者またはそれに準じる者を居住させ、又は反復継続して出入りさせること。

三号 対象物件内の共用部分、その他近接する場所において暴行、傷害、脅迫、恐喝、器物破損、逮捕監禁、凶器準備集合、賭博、売春、ノミ行為、覚せい剤、拳銃、火薬類に関する犯罪に係わること。

四号 対象物件内の共用部分、その他近接する場所において「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第2号に定める団体の威力を背景に、粗野または乱暴な言動をして、他の入居者、管理者、出入り者等に迷惑、不安感、不快感を与える行為。

五号 対象物件内に「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条に定める者またはそれに準じる者(深夜マッサージ従事者等)を多数居住させ、又は反復継続して出入りさせること。

※注意:第五号については、表現方法に若干課題があるとの指摘もあるので、文言を改める可能性がある。使用にあたっては上部グローバルナビゲーション「お問合せ」からどうぞ。

 

◇◆*** 6.役員選出規定 ***◆◇

管理組合役員には、規約や総会決議などの約束事を遵守し、「管理組合をより良いものにする」という理念に基づいて業務執行する責任があります。組合員第一主義のスタンスでかつやる気のある人を発掘して、高品質の管理組合運営を行っていただくようにする。偏よりのない人選を行うため、役員選出はオープンで民主的な方法によることとします。

高層建物や一部階のみペット可としているなど、利用上の違いや特定の約束事がある場合は、居住場所によって利害が異なることがあるので、公平の原則による他、少数意見がきちんと理事会に反映されるように特別の配慮をします。

なお、一般に役員のなり手が少ない状況もあることから、そのような場合に対応できるような約束事も考えておきます。ただし、理事会の機能を考えると、名だけ役員(理事会に出席できない人)は運営の妨げになる場合が多いので避けるようにします。

【選出方法】

1.役員定数配分 (規模が大きいところは自治エリア感覚でグループ分けする)

2.立候補者並びに推薦者を募集する

3.順番制の指定
    前記2で定数に不足する場合、予め指定した順番者を候補者とする。
    注.順番制の適用にあたっては、公平性の観点から、経験者は辞退する
    ことができる旨明記する。

4.多選批判対応
  「理事長は2期までとする」等により独善的運営の元である多薦を封じる。

5.役員候補不適格者
  滞納を繰り返す、うその届出をするなど、共同の利益に反する行為(法第6条)
   を行う組合員は、役員候補不適格者とする。
   注.「義務違反者に対する措置」や「理事長の勧告及び指示」関連

 

◇◆*** 7.自分たちで管理(自主管理)することのポイント ***◆◇

マンション管理には三つの側面がある

①維持管理(メンテナンス) 廊下、階段、ELV、駐車場、集会室などに対する日常的な清掃、設備の点検、修繕

②生活管理(コミュニティライフ) ペット飼育の問題、ピアノなど近隣間の音問題、ごみの出し方、共同生活のルールを守ってもらうための啓発活動

③運営管理(マネジメント) 建物のメンテナンス、共同生活のルールつくり、必要なお金を集める、支払い行為、会計処理、方針を決めるための話合い

 

《管理運営のポイント》

管理組合運営は民主的に行われなければならない。民主主義はいちいち自分たちで決めていくことだから、時間もコストもかかるということを理解したうえで、公平、公正、適法な運営をおこなう必要がある。人材を確保し特定の人に業務や責任と権限が集中しない体制を構築する

①中核となる人材の確保 規模にもよるが、3人から5人程度必要

②役割分担 複数人が中核業務を分担処理する体制を作る

③内部けん制 お金に関することが問題となりやすいので、事務処理権限を契約担当、会計(通帳保管)、支払い担当に三分割する
 なお、経理経験者が不在の場合や初期段階は、外部に依頼して仕組みをつくることを検討する

④特定の業務(例えば修繕関係)担当を置いたり、専門委員会を設置して品質の向上を図る