管 理 費 の 研 究

マンションは同程度の戸数で比較した場合、物理的側面(建物の大きさとか建築設備等)やサービス的側面(管理員配置等)が同じような形に収斂される傾向がある。”規模別”に整えることで、原価要素における規模的側面がそろえやすく、傾向を出しやすい型に転換もできると考えている。

マンションの管理費月額は、当初、分譲会社が設定(初期設定値という)する。その際の設定根拠・方法はいろいろ考えられるが、大概の場合 ①近隣相場 ②他社の新規物件の管理費相場 ③直近の傾向(景気動向等)等々を参考に ④“購入者の管理費負担レベル(分譲価格の一定割合とか単位当り基準額を先付け設定する・修繕積立金を含める場合が多い)を重視した管理費月額を設定する、ということのようだ。まずは「本体をどのように売るか」が大切で、次に管理会社の収支をにらんだ販売戦術が優先され、「組合員が負担するランニングコストをできるだけ安くする」という視点は欠落しているように感じる。(経理関係を知る人は、事務管理費用など原価要素ごとに費用を見込み、それらを積上げて管理費月額とする「標準原価計算型」を想定すると思うが、そうではないのが現状らしい)

そのように設定される管理費月額だとすると、『景気がよいときと悪いときでは分譲価格に高低があるから、管理費についても高低が生じるのではないか』と、仮説を立ててみた。これを”築年別”と呼び、その中心軸は諸物価が高騰し不動産の場合には土地神話まで生み出したかの有名なバブル期に設定した。

管理費月額は、区分所有法の衡平の原則に基づいて算定するから、金額は専有部面積の広狭に比例して増減する事になる。しかし、このグロス金額では管理費相場を考える際の物差しに使いづらい面があるので、広狭の影響を排除する目的で単位当り金額=㎡当り管理費を算出する。

それから、この種のやりかたは統計的手法にも似ているので、相当数のデータがない場合には信頼性に問題があるということになる。その点本委員会では、足立区マンション管理士会 会員の協力を得て、足立区内マンション全体の8割程度の管理費に関するデータを収集しているので、そこから導き出した係数については相当程度の信頼性があるものと考えている。

以上のような考えから、規模別・築年別・㎡当り管理費のデータを集計したところ“バブル期に販売されたマンションの管理費は高い”という仮説どおりの結果を数値は示した。

なお、管理組合によっては、駐車場収入を管理費に充当しているケースがあるが、これは修繕積立金収入にするほうが好ましい。特に機械式設備の場合は、長期修繕計画の駐車設備補修費を駐車場収入で担保しておく必要がる。

また、超高層マンションについては、重厚な設備、24時間勤務、過剰サービス等のことがあって、従来型のマンションとは異なる点が多いので、これはこれで一つの括りと考えたほうが理解しやすいと思う。ワンルームマンションと呼ばれるタイプにもついても、ファミリータイプに比べると単位当り固定費負担が高くならざるを得ない側面があるので、別に括ったほうが実務的といえる。

【用語解説】

マンションの管理費 ⇒ 共用部の維持管理に必要とする費用で、区分所有者全員が衡平に負担しなければならないとされている。徴収する管理組合の立場から見れば、収入勘定にもなる科目。

主たる原価要素 ⇒ ①会計・出納といった事務管理業務に要する費用②管理員人件費③建物・付属設備を一定の状態に維持するための保守管理費用④電気料等の公共料金⑤突発故障等に要する修繕費用⑥管理組合運営に要する費用等に区分される。

管理委託費用 ⇒ 管理会社に管理を委託している場合は、前記①、②、③が業務委託費用として計上される。この費用が管理費全体の8割程度を占める場合がある。

原価要素別発生時期等 ⇒ 一部の費用を除いて、ほとんどの経費は毎月一定額発生する傾向がある。全ての原価要素を固定費とみなしても大きな問題はない。

管理費月額 ⇒ 単位当り基準額×専有部面積で算出

単位当り基準額 ⇒ 管理費年間所要額÷延べ専有部面積÷12で算出

㎡当り管理費(月額) ⇒ 管理費月額÷専有部面積で算出。管理費相場を考えるときに使用する。

 

**** 【足立エリア】 ****

                           単位:円

 

200戸以上

100~199

60~99

45~59

30~44

30戸未満

平均戸数

299

133

74

52

37

23

96~06

123

167

165

184

193

223

85~95

137

171

185

197

236

256

74~84

125

141

191

186

175

209

合 計

136

157

178

188

209

236

全体【782棟・45,499戸】平均㎡単価=202

 

★ 管理費はマンションの規模に反比例している事が分かる

★ バブル期に分譲されたマンションは高い傾向にある

 

 

… その他の参考資料 …

 

1.「規模別・築年別」の管理費月額調べ

 

足立区内マンション管理費月額

単位:千円

 

200戸以上

100~199

60~99

45~59

30~44

30戸未満

平均戸数

299

133

74

52

37

23

96~06

8,880

11,530

10,800

11,830

12,260

14,010

85~95

7,910

11,600

11,200

12,040

14,540

14,360

74~84

7,900

8,560

10,450

10,330

9,440

10,800

合 計

9,070

10,310

10,830

11,560

12,830

13,380

注.合計には07以降を含む ★全体【782棟】平均月額=12,130

 

 

2.「規模別・築年別」の1戸当り平均面積

 

1戸当り平均面積(規模別・築年別)

 ファミリータイプ

単位:㎡

 

200戸以上

100~199

60~99

45~59

30~44

30戸未満

平均戸数

299

133

74

52

37

23

96~06

73

69

66

64

64

64

85~95

57

67

61

62

62

57

74~84

64

62

56

57

54

52

合 計

67

66

62

62

62

58

注.合計には’07以降を含む

★ 面積は築浅のほうが広い

★ 広さはマンションの規模に比例している

 

 

3.ワンルームマンションの平均㎡当り金額

 

     ワンルームマンション30㎡未満)→ 平均㎡当り単価:443

     データ:61棟・2,149

 

 

****  【川口エリア】 ****

【川口エリア人口:74万人(川口市49万人、鳩ヶ谷市6万人、蕨市7万人、戸田市12万人)】

概況:川口地区は、都心へ30分というアクセスの良さと、川を挟んで向いあう赤羽周辺よりも割安感があるところから、マンション需要が高く、比較的早い段階から開発が行われた。(そのため、築30年を超える建物は足立区よりも多い)また、近年はキューポラ跡地に超高層マンションが林立し、その都市景観は一変した。中でもエルザタワー55は、その高さと大きさで他を圧倒しているが、ライオンズマンションの旗艦として超高層マンションの先駆け的存在であったことは良く知られている。戸田地区は、陸の孤島と呼ばれた時期もあるようだが、1985年に埼京線が開通してからは、都心へのアクセスが向上して人気の地区となっている。

川口エリアの「管理費」平均㎡当り単価(規模別・築年別)・超高層を除く

20.03.時点のデータ

                         単位:円

 

200戸以上

100~199

60~99

45~59

30~44

30戸未満

 

平均戸数

308

142

77

51

37

23

96~06

145

145

163

168

180

206

85~95

161

155

179

183

204

235

74~84

115

138

171

164

169

171

合計

137

145

169

174

188

215

 

全体【660棟】平均㎡単価=181円

 

★ 管理費はマンションの規模に反比例し、規模が小さくなるに従い㎡当り管理費は高くなる。

★ 不動産バブル期〔85~95年〕に建築された物件は高い

 74~84年〕の特色

・〔74~84年〕に建築された60~99戸は管理員住込み型が多い(43%)

・〔74~84年〕に建築された30~44戸の約2割は自主管理

・〔74~84年〕に建築された30戸未満は約3割が自主管理

 

★管理費平均月額=11,780円 

 

◇◇◆◆

 ・23区内の足立区と荒川北岸が隣接する埼玉県川口市周辺の相場を比較すると、足立区の方が1割ほど高い。

 ・管理費相場に高低が生じる要因として”管理費・分譲価格比例説”が有力。

 

 

 

 

****【超高層マンションの「管理費」平均㎡当り単価】****

・超高層マンションの定義:建物の高さが60m超え(凡そ地上20階建て以上)
・管理体制の別:①管理員日勤②常駐(昼間:管理員、夜間:警備員)
・その他:ホテル並み等の過剰設備・サービスを含んでいる場合がある

【管理形態別に見た場合】
①管理員日勤の平均㎡当り単価:234円
②常駐(昼間:管理員、夜間:警備員)の平均㎡当り単価:246円

【②常駐を更に建物(階高)別に見た場合】
①40階以上の平均㎡当り単価:281円
②30 ~39階建ての平均㎡当り単価:237円
③20~29階建ての平均㎡当り単価:235円
超高層マンションの中でも、背が高いほうが管理費も高いという結果が出ている。管理委託費の内容がわからないので何ともいえないが、この結果に合理性があるかについては、はなはだ疑問だ。

なお、ホテル並み等の過剰設備・サービスを売りにしているマンションの一部には、㎡当り単価が500円を超えるものもある。生活する棲家なのか、ホテル住まいを望んでいるのか、価値観とコストをよく考える必要がある。

データは20.03現在、前者が44後者が69と決して多くはないので、今後、大型物件が多数開発された場合などはその影響を受けて変動する可能性がある。