主宰者の実務研究

★ 主宰者プロフィール
平成14年度マンション管理士・管理業務主任者試験ダブル合格・登録。複数の管理会社でいわゆるフロント業務を担当する。設備保守関係の知識を得るための各種試験(第一種電気工事士消防設備士等)及び「安全・安心」関連知識取得のため(防災士防犯設備士)を受験・資格を取得する。
足立区マンション管理士会の一員として啓発活動に従事するかたわら、「管理組合の自主・独立こそ管理の原点である」をモットーに、管理組合運営の支援活動を行う。

NAKAYA マンション管理士事務所  中川 實


管理に伴うコストは、その原価のほとんどが人にかかるものなので、その時代の雇用情勢の影響を受ける傾向にあります。ここ10年ほどは、景気低迷と雇用形態の多様化・流動化の影響から、労務コストは下落傾向にあり、管理員募集広告からもその傾向を読み取る事ができます。
私は新築入居1年目に分譲会社が設定(初期設定値)した管理費の見直し(管理委託契約金額の引き下げが主)を行い、管理費月額を約17%引き下げました。
マンションの管理費というのは、区分所有者全員で決めるのが本当の姿です。しかしマンションを購入する時点で管理費は決められています。しかも売主・管理(予定)会社が都合の良いように決めた管理費はたいがい高めの設定になっています。費用の中身をよく検討して、早い段階で適正な姿にしなければなりません。
区分所有者のほとんどはマンションの権利関係や、管理会社との契約が特別な法律で律せられているということを知りません。管理会社に任せておけば悪いようにしないぐらいに考えています。そのような組合員が多いマンションは管理会社にとって、非常にやりやすい相手ということになります。
自分たちのことは自分たちの手で、というところまでいかないにしても、「自立する」という自覚は欲しいものです。なぜなら自立した管理組合だけが管理会社と良い関係を構築できるからです。

 我家の地震対策

防災士資格を受講した際、地震の恐ろしさを知ると同時に、愛する者を守るためにはどのようにしたらよいのか、ということも学びました。一日の内で、一番無防備な姿になるのは寝ているときです。そんな時、直下型の大地震に襲われたとしたら…。大切な妻や家族が一瞬にして圧死* した、などということにならないよう、人様に教える前に、自らの反省も込めて、家具の転倒防止策を講じました。

* 阪神・淡路大震災では、およそ2,500棟のマンションが被害にあったと報告されています。そして犠牲者のほとんどは、建物や家具の下敷きになった方でした。 そのことを踏まえて対策を講じましたが、費用は転倒防止用器具、加工用板、留め金具類等、約4万円でした。

1.寝室の箪笥類対策

寝室・洋箪笥 (2).JPG

   天板部分をアップした写真

洋箪笥上部拡大 (2).JPG

 

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(略称:適正化法)施行規則の一部改正

● 適正化法施行規則の一部が改正され、平成22年5月1日施行された。
● 法改正に伴い、「マンション標準管理委託契約書」の該当部分が改訂され、
     法の施行日である平成22年5月1日以降、新たに締結する又は更新する
    「管理委託契約書」から適用されるので注意する必要がある。

● 施行規則の主な改正事項は、次のとおり
1.管理組合財産の分別管理の方法(§87条2項関係)
2.保証契約の締結(§87条3項関係)
3.印鑑等の管理の禁止(§87条4項関係)
4.会計の収支状況に関する書面の交付等(§87条5項関係)
5.業者標識の表記事項     等

● 管理組合財産の分別管理の方法(§87条2項関係)
(1号のイ)
組合員→ 収納口座→ 支出後の残高を翌月末日までに移し換え→保管口座
(1号のロ)
組合員→ 修繕積立金は直接→ 保管口座
組合員→ 収納口座→ 支出後の残高を翌月末日までに移し換え→保管口座
(1号のハ)
組合員→ 収納・保管口座

●「管理委託契約書」の「通帳の名義等」との関係は次のとおり

 

通帳の名義

保証契約

印鑑等の管理

 

管理組合

業者

管理組合

業者

収納口座

Aパターン

 

 ○

 

 

 

 ×

 

 ○

 

 

 

§87312

Bパターン

 ○

 

 ○

 

 ○

§8732

Cパターン

 

 ○

 ○

 

 ○

 

 

保管口座

 

 ○

 

 ×

 

 

 ○

 

 

業者:印鑑等の管理禁止

 

収納・保管口座

 

 

 ○

 

 ×

 

 

 ○

 

 

業者:印鑑等の管理禁止

※ ABCパターンは筆者が識別用として付したもの

 

●「マンション標準管理委託契約書」改訂のポイント

①(管理事務に要する費用の負担及び支払い方法)(標契§6条)関係
・重要事項説明の際、見積書等であらかじめ定額委託業務費の内訳を明示している場合であって、当事者間で合意しているときは、契約書に内訳を記載しないことができる。(注.筆者意見:金額の内訳は記載すべきである。)
②(管理事務の報告等)(標契§9条、別表第1、1(1))関係
・乙は毎月末日までに、甲に対し、前月における甲の会計の収支状況に関する書面を交付しなければならない。(施行規則87条5項)
③(滞納者に対する督促)(標契§10条)関係
・弁護士法第72条の規定を踏まえて、業者の協力について事前に協議が整っている場合は、協力内容(甲名義の内容証明郵便による督促等)、費用負担等に関し具体的に規定する。
④(守秘義務等)(標契§16条)関係
・個人情報の適正な取扱いの確保に努めなければならない。
⑤(財産の分別管理方法)(標契別表第1、1(2))
・「収納口座」「保管口座」「収納・保管口座」により管理する。
(施行規則87条2項1号イ・ロ・ハ)
・「保管口座」「収納・保管口座」に係る甲の印鑑、預貯金引出用のカードその他これらに類する物を管理業者が管理することを禁止。(施行規則87条4項)
⑥ 長期修繕計画関係(標契別表第1、1(3))
・長期修繕計画案の作成業務及び見直し業務については、別個の契約とすることを明記。
⑦ その他
・第三者への再委託条項が改正され、事務管理業務の一部が再委託可能となった。(注.筆者意見:集金代行会社を念頭に置いた現状追認改訂と認識)

なお、前回(平成15年)改訂された条文が依然として使われているなど、改訂事項が反映されていない契約書を見ることがあるので、早急に改善する必要がある。
〔違法事例〕 ・自動更新条項を使っているケース
〔違反事例〕 ・「会計に係る帳簿の引渡し」を履行しないケース

 

「管理員人件費の概要」

管理員人件費ついては、この業務にふさわしい賃金水準はどれくらいか?という
職能給的なことを知る必要があるが、他方、賃金というものはその性格上
「雇用・労働市場における需要と供給により定まる」職務給的な感覚が一般的な
ようだ。そのような観点から、過去から現在に至る推移を調査して、現時点における管理員人件費の妥当額はどの程度?ということを考えてみることにした。

1.調査方法等について
 調査方法:新聞に掲載された求人情報。可能な限り定点観測(毎年の春
 頃)とした。可能な限り大手管理会社のデータを収集する。
  調査期間:昭和60年(1985年)から現在に至る26年間
  勤務地等:東京都内のマンションで通勤(日勤)勤務

2.給与等の用語説明
 給 与:管理員が受取る現金のこと
 人件費:雇用主が負担する金銭等。給与のほか社会保険料、被服費、
     通勤費、有給休暇担保措置等。
     通常、管理員が受取る給与の1.2倍程度負担することになる。

3.社会保険料等の雇用主負担分の内訳
 ①社会保険(健康・介護5.54%、年金8.03%、雇用・労災1.25%、
  その他0.13%)⇒ 15%
 ②週休2日、年末年始、夏期休暇、有給休暇、
  有給休暇時の代行管理員派遣費用 ⇒ 0.8%
  ※管理員休暇時の代行管理員派遣が契約に明記されていない場合は認
   定しない
 ③通勤手当 ⇒概ね10,000円/月(上限)⇒ 6.7%
 ④制服支給 ⇒概ね5,000円/3年 ⇒ 0.1%
 ⑤その他
  本社経費(社員管理費用等)⇒概ね5%
  ※この費用については、管理業務委託費全体の中に利益相当額等の形
   で挿入計上されている場合が多いので、管理員人件費勘定では認定
   しない。こういう費用も必要ということを理解しておく。
  賞与・超勤手当・昇給⇒算定しない
  ※賞与等については、労働の質や会社に対する貢献度あるいは当委員
   会の経験則から考えて、支給があったとしても僅少額にとどまると
   ころから、月額負担という形で指数化して算定する必要を感じない。

4.調査結果から導かれた管理員人件費の妥当額水準
 給与月額  160,000 円(週40時間⇒8h×5日)
 社会保険料等の雇用主負担分(22.6%) 36,100円
 人件費等の合計 196,100円


5.過去から現在に至る推移
 1984年6月  150,000  9:00から17:00
         135,000  9:00から16:00
 1990年3月  150,000  8:00から17:00
 1992年3月  185,000  8:00から17:30
 1995年4月  170,000  9:00から17:00
 2000年4月  148,000  9:00から17:00
 2005年1月  160,000  8:00から16:30
 2010年1月  160,000  8:45から17:00
 2011年3月  160,000  8:30から17:00
 2011年6月  155,000  8:00から17:00

  ※1992年はバブル景気の影響から、調査期間のなかでは最高値
  ※掲示スペースの関係で5年刻みとしている
                                     以上